単なる「ブーム」ではない カプセルトイ専門店が爆増する背景にある「コスパ」の正体(3/6 ページ)
第5次ブームを迎え、業界全体が急成長している「カプセルトイ」。このブームを支えているのが「カプセルトイ専門店」だ。爆増するカプセルトイ専門店は、なぜそこまで人気があるのか? 今後もこの勢いは続くのか?
事業者にとって「コスパがいい」カプセルトイ専門店
さまざまな指摘があるが、筆者はその理由として、あらゆる人にとってカプセルトイ専門店は「コスパがいい」ことにあると考えている。事業者側と消費者側に分けて、分析していこう。まずは事業者側の事情である。カプセルトイ専門店が他のアミューズメント施設と違うのは、「筐体を置くだけでいい」ということだ。つまり、電気代がかからないのである。
アミューズメント産業全体で電気代の値上がりが大きな課題になっている昨今、特にゲームセンターは苦境に立たされている。帝国データバンクによると、2023年度のゲームセンターの倒産件数は過去5年間で最多となった。そんな中、カプセルトイ専門店は「電気代がかからない」という強みを発揮できているといえる。
電気代がかからないということは、大規模な電気工事が必要ないことでもある。筆者が「ガシャポンのデパート」を運営するバンダイナムコアミューズメントにインタビューした際、担当者はこのように述べていた。
『規模にもよりますが、最短3カ月で店舗を完成させます。ゲームセンターだと、電気工事などに時間がかかりますが、カプセルトイ専門店の場合、カプセルトイ自販機を用意できればそこまで時間はかからない』(集英社オンライン 2024年3月7日)
事業者からすれば、電気代もかからず、かつすぐに始められるカプセルトイ専門店は、賃料の損失を少しでも減らしてくれる存在だ。そのため、カプセルトイ専門店への転換が積極的に行われているのだろう。
加えて、コロナ禍を経て、都市やショッピングモールに空き店舗が増えたのも、カプセルトイ専門店の追い風になったといえる。実際、カプセルトイ専門店の#C-plaは、コロナ禍での緊急事態宣言明けに出店要請が相次ぎ、2024年の売り上げは、2019年の13倍になっている。(withnews 2024年5月13日)
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