単なる「ブーム」ではない カプセルトイ専門店が爆増する背景にある「コスパ」の正体(4/6 ページ)
第5次ブームを迎え、業界全体が急成長している「カプセルトイ」。このブームを支えているのが「カプセルトイ専門店」だ。爆増するカプセルトイ専門店は、なぜそこまで人気があるのか? 今後もこの勢いは続くのか?
コミュニケーションツールとしてのカプセルトイ
このように事業者側に利益があっても、消費者側にとってそれが魅力的に映らなければ、ここまでの広がりはなかったはずだ。では、消費者にとってのカプセルトイのメリットは何だろうか。それは、「コミュニケーションツールとしてのコスパのよさ」である。『ガチャガチャの経済学』(プレジデント社)の中で、著者の小野尾勝彦氏は次のように述べている。
『ユニークな商品を見つけたときの驚き、見事コンプリートしたり、めったに出ないレアアイテムをゲットしたりしたときの喜びをインスタグラムなどに投稿する。(中略)ガチャガチャは手ごろな値段でコミュニケーションを仲介できるツールなのです。いわばガチャガチャはSNSという新しいメディアのネタとして最適だったのです。』
ここで指摘されていることは非常に重要だ。近年、カプセルトイは公衆電話や道路標識のような「街で見かけるモノ」の他、大ヒットした「コップのフチ子」シリーズや「赤の他人の証明写真」のような「意表を突いた変なモノ」、また『鬼滅の刃』をはじめとした「人気アニメのグッズ」といったラインアップが多い。実は、これらは全てコミュニケーションを誘発しやすい特徴がある。
街で見かけるモノだったら「あるある」となるし、「意表をついた変なモノ」だったら「なにそれ?」とツッコミが来る。「人気アニメのグッズ」であれば、そのファンの中でコミュニケーションが生まれるのだ。
ひところ、「ファスト映画」なる言葉で表される、「映画を早送りで見る若者」の存在が話題になった。彼らは仲間内でのコミュニケーションが滞りなく進むように、早送りで映画を見る。映画の内容自体よりも、それを通じた「コミュニケーション」が優位になる中で、最もコスパよく映画を消費するわけだ。こうしたコミュニケーション優位の時代に、カプセルトイはうまくハマっているのではないだろうか。
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