新幹線が止まったらどうなる? JR東海の事故対応は「仮復旧」も重視:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/6 ページ)
JR東海が11月7日、東海道新幹線の総合事故対応訓練を報道公開した。会場は静岡県三島市の「三島車両所」で筆者にとっては初めての見学だったが、「いままでの事故復旧とは考え方が変わってきている」と感じた。今回は訓練の模様と、私が感じた復旧に対する変化をお伝えしたい。
JR東海が11月7日、東海道新幹線の総合事故対応訓練を報道公開した。この訓練は毎年1回、東海道新幹線の車両基地で実施されている。JR東海と同グループの社員のほか警察官も訓練に参加し、不審者対応訓練も実施した。また新幹線を運行するJRグループ各社からも見学者が訪れ、障害対応技術の交流の場になっているようだ。
2024年の会場となった「三島車両所」は静岡県三島市にあり、東海道新幹線三島駅に隣接している。訓練会場は線路12本ぶんの留置線区域で行われた。面積を地理院地図で計測したら約4万平方メートルだ。700人以上の参加者がいても、まばらに見えるほど広い。普段ここに留め置かれている車両たちは運用などを変更し、この日は別の基地などに退避しているわけで、周到な準備が行われたことが分かる。
私にとっては初めての見学となったけれども、説明を聞くと「いままでの事故復旧とは考え方が変わってきている」と感じた。分かりやすくいうと「1日でも早く本復旧」はもちろんだが、「1分でも早く仮復旧」に力を入れている。
幸いなことに新幹線の事故は少ない。それだけに「鉄道事故」といわれてもピンとこない。しかし、IT技術者向けに例えるなら「新幹線が走らない」は「情報が届かない=ダウンタイム」であり、事故復旧は「障害対応」にあたる。インフラをきっちりと立て直すことは重要だけれども、障害対応はスピードが大切だ。東海道新幹線はダウンタイムを短縮するためにどのような訓練をしているか、という視点になると身近に感じると思う。
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