連載
吉野家はなぜ、「カレー」と「から揚げ」の専門店を始めるのか?:マーケティング戦略を考察する(3/4 ページ)
牛丼一筋のイメージが強い吉野家HDは、なぜ新業態に進出したのか。
バリューチェーンの共有で効率よく成長
吉野家HDの新業態開始の背景を、バリューチェーンの観点から見てみたい。
「価値連鎖」の意味を持つバリューチェーンとは、企業における各事業活動を、価値創造のための一連の流れとして捉える考え方だ。
企業の事業活動は、原材料調達から販売に至るまで多岐にわたり、それぞれの事業活動がきちんとその役割や機能を果たすことで価値を創造している。
吉野家HDは、特に「調達」の部分をグループ全体で共有することで、新業態の事業を効率よく成長させられる可能性がある。
例えば、牛丼チェーンで構築した仕入れルートや大量調達のノウハウを新業態にも適用することで、牛丼用の牛肉をカレーにも活用できるなど、コスト効率を高めることができる。
また、人材教育やマニュアル化をグループ企業全体で行うことで、オペレーションの効率化とサービス品質の均一化を実現できる。
スタッフの採用からトレーニングまでを一元化し、多様な業態でも同水準のサービスを提供できる体制を構築することができるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ロイヤルホスト、冬メニューに注力 「ホテルの結婚式のような」豪華料理で勝負
ファミリーレストランチェーン「ロイヤルホスト」は11月27日から、冬季フェア「Good JAPAN 冬のご馳走」を販売する。
なぜ、松のやは「290円朝食」にこだわる? ターゲティングとポジショニング戦略から見えた“必然”
この価格設定は、同業他社と比較しても圧倒的である。
やよい軒が“ロボ化”してまで死守した「ご飯おかわり自由」
コロナ禍でライフスタイルが変容する中、大手外食チェーンが「朝食」の時間帯を狙った戦略を展開する。やよい軒では、2006年の創業時から朝食メニューを提供している。メニューの開発経緯や戦略について運営企業に取材した。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
ドンキ「あんだく溺れ天津飯」が爆売れ あんが“容器の限界”超えてしまい、開発時は難航
ドンキで「あんだく溺れ天津飯」が売れている。“偏愛”に振り切った商品だからこそ、開発時は苦労したという。
