参加者が爆増! WHIの“健康イベント”に隠されたエンジニア社員の「2つの発想」とは:1000人超の社員、経営層も参加(4/4 ページ)
Works Human Intelligence社のウォーキングイベント「Connected Walking」がおもしろい。2021年から回を重ね、直近では全社員の51%に当たる1090人が参加。注目すべきは、これが会社主導ではなく社員のボランティアで行われていることだ。
本業の傍ら、少ない人数でいかに運営するか 自動化で解決
WHPのメンバーは、普段の仕事の傍らでミーティングをしたりイベントの企画運営をしたりといった活動を続けている。1000人超が参加するイベントを多くても20人程度のメンバーで回すために、相当の工夫を重ねているようだ。
「初めて新卒社員向けにやったときは、実施が決まってから開催までに3週間しかなく、裏側の仕組みはほとんど手作業で頑張りました。でも、全社員が対象となるとそれでは回らないので、さまざまなことを自動化しました」(発地さん)
例えば、イベントが始まるときにチームごとのSlackのチャンネルを作成する、歩数を入力していない参加者へのリマインドメッセージを送る、週の後半にチームのビンゴ達成状況や個人の歩数を知らせる、個人やチームの達成状況に応じて「コネクト」を付与する……といったことを最初は全て手作業でやっていた。それを、SlackとGoogle Apps Script(GAS)、Googleスプレッドシートなどを駆使して自動化し、工数を削減した。
昨今、ERG(Employee Resource Group)と呼ばれるような、共通の思いや属性を持つ従業員グループが自主的な活動を行うケースが増えている。しかし、通常業務の傍らで活動時間を捻出したりモチベーションを保つのが難しいなど、活動を継続・発展させていくのが容易でないことは想像に難くない。「Connected Walking」が規模を拡大し、内容も改善しながら続けられているのは非常に稀有(けう)なことではないだろうか。
次回は、彼らが一回一回のイベントをやりっぱなしにせず、きちんと振り返りを行いイベントを発展させていくことができている理由をより深堀りする。また、このような社員の自主的かつ有意義な活動が生まれる会社の風土やサポート体制について、CHROの八幡誠さんのお話も紹介したい。
<「社員の自主活動」が成功する会社は何が違う? マイクロソフト、セールスフォースを見てきたWHI社CHROが分析>
やつづかえり
コクヨ、ベネッセコーポレーションで11年間勤務後、独立。2013年より組織に所属する個人の新しい働き方、暮らし方の取材を開始。『くらしと仕事』編集長(2016〜2018)。「Yahoo!ニュース エキスパート」オーサー。各種Webメディアで働き方、組織、イノベーションなどをテーマとした記事を執筆中。著書に『本気で社員を幸せにする会社』(2019年、日本実業出版社)。
Yahoo!ニュース エキスパート記事一覧はコチラ
ITmedia デジタル戦略EXPO 2025冬
デジタル経営戦略やAI活用、業務効率化など、多岐にわたるビジネス課題を解決する「ITmedia デジタル戦略EXPO 2025冬」。ビジネスパーソンが“今”知りたいデジタル戦略の最前線を探求します。
【注目の基調講演】生成AIを社員約1.8万人が利用、平均3.3時間を削減――パーソルHDの“AI推進大作戦”、その舞台裏
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「社員の自主活動」が成功する会社は何が違う? マイクロソフト、セールスフォースを見てきたWHI社CHROが分析
企業内の「健康イベント」と聞くと、退屈なイメージを持つかもしれないが、Works Human Intelligence社の有志社員によるウォーキングイベント「Connected Walking」には半数以上の社員が参加している。このイベントは会社主導ではなく社員のボランティアで行われている。本記事では「社員の自主活動」を成功させるポイントについて、プロジェクトメンバーと人事責任者に話を聞いた。
「必要以上に頑張らない」は悪いこと? 熱意あった若者がやる気をなくすワケ
退職するわけではないけれど、仕事への熱意も職場への帰属意識も薄い――という状態が「静かな退職(Quiet Quitting)」が注目されている。日本においても、会社員の7割以上が静かな退職状態だという調査結果がある。やる気をもって入社した若者たちが静かな退職を選ぶことを防ぐにはどうしたら良いのか、考えてみよう。
「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観
「ホワイト離職」現象が、メディアで取り沙汰されている。いやいや、「ホワイトすぎて」退職って本当? 変化する若者の仕事観を考える。
日本人はなぜこれほどまでに「学ばない」のか 背景にある7つのバイアス
学びの習慣があまりにも低い日本の就業者の心理をより詳細に分析すると、学びから遠ざかる「ラーニング・バイアス(偏った意識)」が7つ明らかになった。日本人はなぜこれほどまでに「学ばない」のか。
「プログラミング言語」は今後不要になるのか ソフトウェア開発者の業務、半分はAIで自動化可能に
言語生成AIが持つプログラミングコードの生成能力は驚異的なものです。ソフトウェア開発における生成AIの導入は、3つの形態に分けられます。
人は増やさず年商12倍へ 「伊勢の食堂」の逆転劇に学ぶ、地方企業の“依存しない”戦い方
伊勢神宮の参道に立つ、創業100年を超える老舗食堂「ゑびや」は、10年ほど前には経営が傾き事業縮小の危機に瀕(ひん)していたという。経営を立て直した立役者が、元ソフトバンク社員の小田島春樹氏だ。小田島氏はそんな厳しい状態をDX推進で立て直すことに成功し、2012年からの12年間で年商を12倍に成長させた。

