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NEC社長に聞く「生成AIとセキュリティの関係」 真のAIエージェントとは?新春トップインタビュー 〜AI革新企業に問う〜(2/2 ページ)

NECの森田隆之社長に、生成AI競争での同社の強みや、AIエージェントへの見解を聞いた。

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森田社長が考える「柱となる技術」とは?

――近未来を見据え、森田社長が考える柱となる技術とは何でしょうか。

 やはりAIとセキュリティです。AIはまだまだ黎明期だと思っています。研究所との議論でもよく出るのですが、今のAIは、まだ理論が確立していない状況なのです。NVIDIA(エヌビディア)も、もともとはゲームのチップの会社です。いわゆるプロセッシングを並列処理するためのGPUを手掛け、それが良いということで当たりました。

 ただチップ単位でみると、AIチップのベンチャーも現れてきていて、おのおのがAIに最適なアーキテクチャを考えています。今はまだ周辺のツールや環境で、エヌビディアが優れています。だからそこに市場は依存せざるを得ないのですが、時間がたつと、その構造が変わってくる可能性があります。


NVIDIAはもともとゲームのチップの会社だった(創業者でCEOのジェンスン・フアン氏。2024年11月撮影:河嶌太郎)

 生成AIの論文のほとんどは「こうやったらこんな優れた結果が出た」というものです。ただ「どうしてそうなったのか」についてはまだ議論ができていません。そこができると圧倒的な効率化や、消費電力などのエネルギー問題も大きく解決する策が出る可能性があります。

 もう一つ、大事なのがセキュリティです。あらゆるものがAIによって影響される中で、しっかり守られていかなければなりません。セキュリティといってもサイバーセキュリティだけではなく、フィジカルセキュリティもあります。人のセキュリティもあります。そういう意味での広いセキュリティで守っていくことは、経済安全保障にも関わってきます。

 そしてAIがなぜ重要なのか。いろんな生産活動において大きな革命と効率性を実現するからですが、それはデータ主権の問題や文化にも関わってきます。 生成AIサービスは、われわれが知っているローカルなことを聞こうとすると、極めてバイアスの掛かったアウトプットになるケースがあります。やはりその部分については、日本が自分たちのデータ主権や文化を守るために一定のコントロールが必要で、守るべきものは守らなければなりません。

 生成AIの技術を全て外から持ってきたものに依存してしまうと、自分たちの大きな運命の重要な部分を依存してしまうことになります。主権や文化を放棄することになります。もちろん全部が自分たちでできるわけではないため、何を自分の意志で守っていくのかを、自ら決められなければなりません。そして、決めたものをバイアスが掛かって実行させられないように、セキュリティを確保することが大事になります。

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