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真・三國無双、25年目の新作 長寿作が直面する“マンネリ化”をどう乗り越えた?:エンタメ×ビジネスを科学する(4/4 ページ)
最新作ではどのような試みを行い、新たな世代にアプローチしていくのだろうか。歴代作品の特徴に触れつつ考察する。
「歴史エンタメ」のゲートウェイに
かつて、真・三國無双シリーズは、多くの若者を歴史ゲームの世界へと導く「ゲートウェイ」としての役割を果たしてきた。
歴史を知らずとも楽しめる、爽快かつ派手なアクションゲームとして遊び始めた先には、三国志の英雄たちの生き様や時代を動かした戦いの意味を知る場が用意されている。そこから歴史小説や歴史漫画、更には三国志の正史や日本の戦国時代へと興味が広がり、より深い歴史への関心が育まれていく――。そんな、歴史エンタメコンテンツへの入口としての機能を、このシリーズは持ち続けてきた。
現在の主力ユーザーである30〜40代には、そのような形でシリーズと出会い、同社の『三国志』や『信長の野望』をプレーし、日本史や世界史を履修したわけでもないのに歴史に詳しくなってしまった方も少なくないだろう。新たな世代においてもこの役割を発揮し、かつては一大ジャンルであった「歴史をエンタメとして楽しむ」文化を継承するきっかけになることだろう。
次の四半世紀へ
これまで述べてきたように、『真・三國無双 ORIGINS』は「長寿シリーズの新作」であることのみにとどまらず、新世代にとっての歴史ゲームへの入口となる可能性を秘めている。
現代のゲーム性を取り入れながら、歴史への興味を自然に育む仕組みは、かつてのような歴史エンタメの「ゲートウェイ」機能の復活を予感させる。
30〜40代のコアファンと新世代の架け橋となり、さらには歴史ゲームの新たな入口となれるか。四半世紀を生き抜いた真・三國無双シリーズの挑戦に期待したい。
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