「ぶっちゃけ面倒くさい」 コンテンツマーケの“難題”を、生成AIで解決する超時短術とは?(2/2 ページ)
昨今の生成AIブームで、コンテンツマーケティングの在り方が大きく変わっている。AIの力でコンテンツの制作工数が飛躍的に改善し、企業が発信可能となるコンテンツ量は間違いなく増えていくと予想される。この記事では、生成AIを味方にしながら自社のコンテンツ力を高め、営業売り上げの貢献につなげるヒントを解説する。
超時短 生成AIを活用したコンテンツ制作4ステップ
(1)顧客の課題・ニーズを整理
まず、顧客候補となる企業が「興味を持っている」「課題としている」「投資をしている」「目標として追っている」などの項目で、発信する情報の整理をしてみよう。
日頃の営業活動で、顧客からヒアリングできているとなお良い。顧客から得る情報はコンテンツのニーズを把握する重要なリソースである。筆者が代表を務めるopenpageでは、自社のデジタルセールスルームを活用し、顧客から課題や目標、注力投資分野といった“生の声”を聞き、記録している。
(2)音声文字起こしなどを活用し、ノウハウを言語化
顧客の課題や投資などの情報が整理できたら、そこに応えるためのノウハウを文字でまとめる。まずは順番は気にせず、とにかく書いてみよう。
例えば「営業活動が属人化をしている」という課題に対して、「営業の商談の中身を型化するといいですよ。具体的には60分の時間をこのように使うと型になりますよ」などと文章化する。
書くのが苦手な方は、PCやスマホの音声文字起こし機能を使って、喋れるだけ喋ってみると、楽に文章化できる。
従来、この文字起こしはライターが音声を使って手書きで書き起こしていたが、今は録音さえすれば簡単に文字起こしできる。NottaのようなAI文字起こしサービスを活用し、スマホで録音したファイルを渡せば文章になる。
(3)生成AIに読みやすいコンテンツを整形してもらう
ここまでの作業で課題に対してノウハウが文章化された。とはいえ、かなり雑多な文章になっており、コンテンツと呼べる状態には程遠いはずだ。
そこで生成AIを活用する。文章を読みやすい形にリライトしてもらうよう依頼しよう。文章ファイルをPDFにするか、文章をコピーアンドペーストして生成AIにテキスト情報を渡す。
そのうえで、出したいコンテンツのイメージを思い浮かべて命令をする。例えば「3000字のブログ記事として、〇〇のタイトルで、××の流れで記事を書いてほしい」と、元のノウハウと共に依頼する。
(4)コンテンツは10分以下で作成可能
openpageでは、最先端のセールス情報を発信するうえで、ブログ記事、書籍、ウェビナー、デジタルセールスルーム上のコンテンツ、既存顧客用のホワイトペーパーなど、相当数のコンテンツを作成している。
制作スピードは、早いものであれば3000字の記事を5分で作成する。1日1本、多い日には1日5〜6本ほど作成できる。記事にするべきトレンドリサーチも生成AIを活用してスピードを高めており、2〜3分でコンテンツ企画も完了。
加えて、デジタルセールスルームを用いて営業過程で顧客にコンテンツを渡せば、コンテンツに対する反応がどうだったか、生のデータを分析できる。実際、営業部門のリードの相当数が何かしらのコンテンツ経由で登録されたものだ。
まとめ
生成AIにより、自社に専門性さえあれば、コンテンツはかなり効率的に作成できるように時代が変わってきた。
そうなると、ヒトの役割は生成AIを使いこなす力に加えて、元となる専門ノウハウの濃さをどれだけ持っているかが重要になるだろう。カルピスの原液のような濃い専門性を持って、生成AIによってコンテンツ化し、リードや受注を獲得する。このサイクルを高速回転で回し、顧客の業務課題を解決する情報提供力を高める会社こそ、圧倒的な営業生産性を手にすることができるだろう。
筆者プロフィール:藤島 誓也 株式会社openpage代表取締役
2018年株式会社openpageを設立。顧客取引のDXソリューション「openpage」を提供、米国流のカスタマーサクセスやセールステックについて最先端の情報を国内で広く啓蒙。2024年にはキヤノンマーケティングジャパン株式会社と資本提携を行い、国内大手企業のデジタルセールス戦略推進を支援している。著書に「実践カスタマーサクセス BtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)。ITmedia ビジネスオンライン「新時代セールスの教科書」にて連載中。
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