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生成AIで懸念視されるCO2排出増 注目の新評価軸「スコープ4」とは?:AI×社会の交差点(1/3 ページ)
「将来削減され得る」CO2排出量に着目する動きが広がっている。
AI×社会の交差点
AIの発達が急速に進んでいる。AIの進化・普及によって社会にどのような変化が起きるのか。野村総合研究所でIT技術のリサーチを行うチームが萌芽事例やニュースなどを取り上げ、新たな課題と可能性について多角的に解説する。
昨今の生成AIの目覚ましい進化と普及の陰で、AIによるCO2排出増が懸念されている。米Googleは2024年7月の年次環境報告書で、CO2排出量が2019年比で約5割増加したと報告した。米Microsoftもまた、2024年5月の環境サステナビリティレポートで、CO2排出量が2020年から約3割増加したと明かした。
背景には生成AIの急速な需要拡大がある。Googleは報告書の中で「AIを製品に組み込むにつれ、今後さらにCO2排出量の削減が困難になる可能性がある」と述べている。
生成AIは、膨大なデータの学習や大規模言語モデルの推論に大量の電力を消費する。その電力を化石燃料での発電に頼れば、CO2排出量の増加につながってしまう。さらに、生成AIの需要を見込んでデータセンターの建設が進められており、資材の調達やサーバなどのハードウェアの製造・輸送が、CO2排出量の増加に追い打ちをかけている。
こうした中で、AIを含むITサービスなどを活用することで“削減され得る” CO2排出量に着目した「スコープ4」が注目を集めている。
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