カギは「不動産」の評価?
それでもフジ・メディアHDの株価が上昇した背景には、同社が注目を浴びる中で同社の割安性が同時に注目された可能性がある。
中でも、同社の不動産事業に対する評価がそのカギを握っているのではないだろうか。
2024年度の決算情報を確認すると、同社のテレビ局が含まれる「メディア・コンテンツ事業」は157億円の利益であるのに対し、傘下のサンケイビルなどで構成される「都市開発・観光事業」は195億円だった。不動産関連事業がテレビ局の利益を大幅に上回っている。
そして、投資家はこの点に目をつけてフジテレビに投資したと考えられる。
フジテレビとジャニーズ事務所のような無形資産に依存するビジネスモデルと大きくと異なる点は、実物資産の有無であろう。土地やビルのような有形資産の価値を計算するにあたって、「所有者がどんな不祥事をしたか」という点や「社会的なイメージがどうなっているか」は関係ない。
また、PBR0.47倍が過小評価されている可能性についても考慮している可能性がある。というのも、PBRはあくまで簿価ベースであり、「含み益」はPBRの計算から除外されるためだ。
日本の不動産市場をめぐっては、東京オリンピックが閉会してからというもの、インフレの流れを受けて不動産の価値は高まっている。フジテレビの保有する経団連ビルやJAビルといった一等地の不動産は足元でも含み益を伸ばし続けているとみられ、実質的なPBRは0.47倍よりもさらに低い水準となり、割安投資の原則にかなうといえそうだ。
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