恵方巻の価格、平均1000円超 なぜ、大幅値上げ?:2025年の節分
2025年の節分シーズンにおける恵方巻の価格が高騰している。なぜ、大幅値上げの動きが起きているのか?
2025年の節分シーズンにおける恵方巻の平均価格は、一般的な五目・七目の恵方巻で1094円と、前年(958円)より14.2%値上がりした。海鮮恵方巻も平均1944円となり、前年(1729円)から12.4%上昇した。
一方、手ごろな価格帯の恵方巻では価格据え置きや値下げといった動きもあり、価格帯の二極化が進行している。
帝国データバンクは2025年の節分シーズンに発売される恵方巻の価格動向について、全国の大手コンビニエンスストアや外食チェーン、スーパー、著名な日本料理店など計104社を対象に調査、分析した。昨年比10%超の大幅な値上げとなったが、なぜなのか?
50社が恵方巻を値上げ なぜ?
昨シーズンから値上げを行った恵方巻は50社に上り、前年(48社)を上回った。値上げ幅別にみると、最も多いのは「100円未満」(24社)で全体の3割超を占めたものの、2023年シーズン以降で最少となった。
中でも、回転寿司チェーンや食品スーパーなど量販店で販売する単価400〜700円台の恵方巻を中心に50円以上の値上げが多くみられた。また、値上げ幅が「100〜150円未満」の恵方巻は13社となり、調査開始以降で最多だったほか、「200円以上」の値上げも最多タイの11社となった。
価格の「据え置き(値下げ)」は過去最少の15社だった。総じて、小幅な値上げにとどまった昨シーズンに比べて大幅な価格引き上げの動きが目立った。
海鮮恵方巻でも、大幅な値上げが相次いだ。2025年シーズンにおける海鮮恵方巻の値上げ幅をみると、最多は「200円以上」で32社となり、2023年以降で最も多かった。一方で、価格の「据え置き」は19社にとどまり、恵方巻と同様に過去3シーズンで最も少なかった。
今シーズンは、コメをはじめ主要な原材料の多くで大幅な価格上昇が避けられない見通しとなった。市販されるコメ5キログラムの価格は、前年比で60%超の大幅な値上げとなったほか、使用頻度の高い味付かんぴょうやのりも、前年比で20〜30%の大幅な価格高騰が見込まれる。
太巻きに用いられる玉子焼きでは、昨シーズンに落ち着きを見せた鶏卵価格が一転して上昇傾向で推移し、2025年1月時点では前年比1.4倍で推移するなど、2023年当時の「エッグショック」に迫る高値で推移している。
水産品では、まぐろ類が昨シーズンに比べて安値傾向にあるものの、ほたて、くるまえび、いくらなど、前年よりも30%以上高騰した原材料もあり、海鮮恵方巻で価格の大幅引き上げが相次いだ要因となった。
低価格と高級志向の二極化進む
今年は1本当たりの平均価格で前年から100円超上昇するなど、40円前後の値上げにとどまり「お買い得感」が強かった昨シーズンから一転して、大幅な値上がりトレンドとなった。
一方、手ごろな価格帯の恵方巻では使用する原材料を工夫するなどして価格据え置きや値下げをするなど、物価高による節約志向を意識した値付けもみられた。2025年以降の恵方巻商戦は、昨年末のおせち商戦の流れを引き継いで「高価格帯」と「低価格帯」の二極化がさらに進行するとみられる。
また、今シーズンも前年に引き続き、ほぼ全ての企業が予約制を導入している。足元では食材の価格高騰が続き、食材廃棄コストの抑制を図る目的で、生産本数やメニュー数の絞り込み、完全予約制を導入する動きも聞かれる。
ただ、こうした動きは1本2000円前後の中〜高級価格の恵方巻で多く、1本1000円以下の恵方巻では当日の店頭販売が占める割合も高いなど、予約制によるフードロス対策には依然として課題も多い。恵方巻は当日の需要予測が難しく、日持ちがしないという難しい特徴を抱えるなかで、「予約制」や「値引きシール」による当日売り切りといった努力が、小売業界・消費者ともに求められる。
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