「ノンアル=お酒の代替品」から脱却へ サントリー、50億円投資の本気度 (2/3 ページ)
サントリーがノンアルコール飲料の拡大に本腰を入れる。2月5日に開催した戦略説明会において、鳥井信宏社長は「ノンアルはお酒の代替品や清涼飲料の類似品ではない」と話した。
ブランドポートフォリオを再構築
ノンアルコール飲料は、飲酒運転が社会問題化した際の解決策として注目を集めた。その後、コロナ禍で加速した健康意識の高まりを受け、お酒を我慢するときの代替品として普及した。福本氏は「ノンアル=我慢するときの飲み物、というネガティブなイメージから脱却し、新しいポジティブな存在意義が必要だ」と説明。ノンアルを我慢する時の飲み物から、「ノンアルを飲みたいから飲む」というように積極的に選ばれる飲み物へとイメージを変える取り組みを進めていく。
まず着手するのは、ブランドポートフォリオの再構築だ。これまでは、ビールテイスト、RTDテイスト、ワインテイストというように味わいでブランドを分けていた。今後は、消費者がノンアルに求めるニーズごとに分類するという。
消費者がノンアルに求めるニーズについて、福本氏は「『リフレッシュ』『楽しく健康を気遣いたいという健康機能』『お酒の楽しい気分を味わえる』という3つに大分できる」と説明する。例えば、リフレッシュのカテゴリーには「オールフリー」や「のんある気分」が該当し、今後は3つのニーズに合わせて商品をカテゴライズする。
また、飲食店向けの業務用商品にも注力する。これまで飲食店向けとしてはオールフリーが主力商品だったが、今秋に新商品を発売予定だ。商品の詳細は非公開だが、オレンジジュースやコーラといった、さまざまな清涼飲料水と割って飲む、ベースとなるノンアルを想定している。
ビールテイストやハイボールテイストといった既存の酒類をノンアルで再現する商品ではなく、ベースとなるノンアルに注力するのはなぜか。福本氏は「割材によって多彩なメニュー展開が可能になる。消費者は選ぶ楽しみ、飲食店はノンアルメニューが拡充できるといった利点がある」と説明する。
その他、プロモーション施策にも力を入れる方針だ。大阪・関西万博を始め、音楽フェスや屋外イベントでノンアルコール飲料を販売する他、100万人規模のサンプリングを実施する予定だ。「まずはとりあえず1杯飲んでみてもらい、ノンアルコール飲料のおいしさや魅力を知っていただく必要がある」(福本氏)
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