「ノンアル=お酒の代替品」から脱却へ サントリー、50億円投資の本気度 (3/3 ページ)
サントリーがノンアルコール飲料の拡大に本腰を入れる。2月5日に開催した戦略説明会において、鳥井信宏社長は「ノンアルはお酒の代替品や清涼飲料の類似品ではない」と話した。
ノンアル、課題は身内にあり
サントリーが展開するノンアルの看板商品である「オールフリー」からは、4月にサワーテイストの新商品「オールフリー クリア」を発売する。ビールテイストのイメージが強いオールフリーからRTDのような商品を発売する理由について、福本氏は「オールフリーのブランド力を、ビールテイスト商品だけにとどめておくのはもったいないと判断した」と説明する。
「のんある酒場」「ワインの休日」も強化する。両商品は、お酒をつくってからアルコール分を取り除く、脱アルコール製法を用いて製造されている。福本氏によると、脱アルコール製法であることを伝えると、消費者の購入意向が高まる傾向があるという。「適当に混ぜてつくっていると思っていたが、お酒からつくっていることで印象が変わった」「こだわってつくられている、高品質なノンアルだと分かった」などの意識変化が起こり、購入に前向きになるからだそうだ。そのため、今後は製法を積極的にアピールすることで、需要拡大を図る。
鳥井社長はノンアルコール飲料について、「課題は身内にあった」と話した。サントリー社内ではかつて「ノンアル市場は、そもそもそこまで大きくなるのか」「ノンアルはお酒の代替品にすぎない」という意識が強かったという。
しかし、市場規模の拡大や適性飲酒の広がりを受け、「ノンアル市場は今後も拡大していくし、業界全体としても拡大させなければならない市場であると改めて感じた」(鳥井社長)という。商品ラインアップの拡充だけでなく、ノンアルをいつどのような場面で飲むのかといった「飲み方」の訴求にも力を入れる。
サントリーは「オールフリー」を2010年に発売し、ノンアル市場に本格参入した。15年目の今年、打ち出す施策は消費者の支持を得られるか。
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