トラブルの内容を確認してみると……
『なるほど、そういうことなんですね。ところで、無理な要求を突きつけられ、それは無理だと突っぱねたら怒ってしまったということですが、具体的にどんなことでもめたのか、本人にトラブルの内容についても確認してみましたか?』
「もちろん確認しました。本人は、こんなことまで要求してくるのだ、そんなことはできないといくら説明しても分かってもらえず、わけの分からないことをまくし立てる、あまりに非常識だ、クレーマーだと、鼻息荒く向こうの理不尽さをアピールするんですけど、同僚たちも言うように、私もそれは決して無理な要求などではないし、お客の要求に合わせて容易に対応できそうだし、なぜそこまでいきり立って拒むのか、理解に苦しんでしまいました」
『そうですか。とくに理不尽な要求なのではなく、十分対応可能なことなのに、なぜか彼がかたくなに拒むため、お客も感情的になり、トラブルになってしまう、っていう感じなんですね』
「そうなんです。だから、そのお客の要求は別に無理な要求ではない、お客が望むならそのくらいの柔軟な対応はしてあげないといけない、って注意をしたんです」
『ちゃんと事情を説明して、注意をしてるんですね。彼は、想定外の展開に弱いっていう感じはありませんか?』
「……そういえば、まさにそうですね。淡々とルーティンのように流れてるときはいいんですけど、想定外の要求や質問をされると、何だか切羽詰まった感じになって、そんなときに相手からしつこく言われると、突然攻撃的になったりするんです。だから、以前から、お客がよく分からないことを言うなと思っても、カッカせずに、お客の言うことに冷静に耳を傾けるように言い聞かせてはいるんです」
『それでも時々もめてしまう、というわけですね』
「そうなんです。店頭でのお客とのトラブルも困ったものですけど、取引先ともトラブることがあるんです。先日も、取引先の担当者から怒りの電話があり、いったいどういう社員教育をしてるのかと責められ、ひたすら恐縮し謝るしかありませんでした」
『それは困りましたね。お客の場合と同じく、相手の言い分をしっかり理解できていない、っていう感じなんですかね』
「まさにそういうことだと思います。彼に問いただすと、取引先の担当者が訳の分からないことを言うから、おっしゃってることが分からないのでもう少し分かるように説明してくださいと丁重に対応していたのに、向こうが勝手に怒り出したので困った、って言うんです。でも、周囲で聞いていた同僚によれば、先方の言うことはよく分かったし、彼の理解が悪いんだと言うんですね。で、私も、先方の言い分を聞くと、決して理不尽なことではないんです」
『彼の理解力の方に問題がありそうだというわけですね』
「そうとしか思えません。どうしたらいいんでしょうか?」
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