実際に“データを見せる”研修で、社員から納得感を得る
小松崎: 分析スキルの向上については、どのような対策をされていますか?
小林: ある程度のテンプレート的なものの準備と、基本的な情報を整理したWikiなどを内製しています。他にも、利用できるデータを使って実際の分析操作を見せながら「ここまでできます」と示す勉強会を展開していきました。
私が入社する前にもツール説明会などは実施したことはあったようですが、それまでのやり方とは少し変えました。受講者のミッションやゴールから振り返って、そのKPIを達成するには何が必要なのか、ボトルネックになっている部分についてはどのように操作し、どこまで把握できるのか――などを説明しました。こうして実際に見せるようにすることで、納得感を持ってもらえるように取り組み方を変えていったのです。
最初は私や中途入社組が四半期に1回組織横断でレクチャーしながら、自分でも利用する中でツールの機能拡大やデータ設計の更新と合わせて利用者への展開を進めつつ、組織としてのスキルアップに努めました。
現在は本部全体の職能として「人に聞いて分析できる」「自分で分析できる」「人に教えられる」など5段階レベルを設定し、自分の分析スキルを客観視できるような体制になっています。
小松崎: 「分析スキルを客観視できる体制」は、組織のレベルアップにも大きく貢献しますよね。また、各社でデジタルマーケティングなどの組織が大きくなりデータ閲覧者も以前より増えていることから「他社ではどうされているか」ということが興味深いポイントなので、とても参考になります。
事業に関わる全チームでデータ活用をすれば、組織は強くなる
小松崎: 時間をかけて積極的にデータ活用できる組織へと進化してきたわけですが、こうした進化に至ったポイントがあれば、教えてください。
小林: 私を含めデータ活用の経験がある中途採用組と、もともとパーソルキャリアで実務を頑張っていた方がうまく協力体制を築けたことが大きいと思います。
また、分析の仕方やツールの使い方が分からない方を含め「こんなデータが見られると、こんなことができるんだ」と実例を示しながら進めたことも良かったかもしれません。実際に見ると、「こんなこともできるんだ、次はこんなことができるかな」と興味がわきますし、面白くなってきます。
小松崎: 小林さんが一人一人に歩み寄り丁寧にサポートされているからこそ、皆さん興味を持って相談されるのでしょうね。
小林: 実は経営層に対しても先にレポーティングを見せて「こういうことができる」という価値を訴求し、現場の変革に取り組んでいきました。やはり実際に具体例を見ると、意識の変革も起こりやすいようです。
小松崎: CX改善に向けデータ活用組織を目指している企業の方に、アドバイスをお願いします。
小林: 今後は、データアルゴリズムやデータの扱い方を洗練・工夫しながら、さまざまなデジタルマーケティング施策を横断的に把握していくことが求められるようになると思います。そのためのスキル習得や情報収集の仕方はさまざまです。しかし、データ分析の事例や実作業、アルゴリズムの検討・構築のケースなどで、各自が自分の担当領域超えて他の分野とオーバーラップしていくような状態を目指すことが大事なのではないでしょうか。
横断的に動ける人員がいれば、そこを起点に広がりを作っていくことも実現できるかもしれませんが、最初のうちは、そもそもの人材確保や確立からが課題になると思います。しかしそういった動き方から事業に関わる全チームでデータ活用を促進し、互いの領域をラッピングすることができれば組織の力は強化できると思います。
小松崎: どんな業務においても、相互理解はとても大切ですよね。小林さんのように相手の立場を考えて相手の目的やゴールを考慮しながら具体的なデータ活用例を提案したり、寄り添うマインドが組織の成果につながっていると感じました。
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