2015年7月27日以前の記事
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設備の老朽化が進む「ローカル線」は、維持すべき交通システムか杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/6 ページ)

いまやほとんどの地方鉄道が瀕死の状態で、補助金無しでは運行を継続できない。まるで点滴で延命する末期患者のようだが、ローカル線という患者はもはや点滴だけでは生きていけない。老朽化した設備の交換が必要だ。このところ、そんな感想を持つ事例がいくつかあった。

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平成筑豊鉄道の場合

 同様に、自治体による補助金の限界を超えた鉄道が「平成筑豊鉄道」だ。もともと国鉄時代に「特定地方交通線」として廃止対象になった3つの路線を、自治体の出資による第三セクターが引き受けた。初期には運行車両を少なくする代わりに運行回数を増やす施策で利用者を増やし、黒字決算となった。ローカル線の優等生とも呼ばれた。

 しかし、その後は少子高齢化などで乗客数が減り、2011年から補助金を受けている。コロナ禍でさらにダメージを受け、2023年度の補助金は約3億円にのぼった。沿線自治体にとっては、それでも維持していきたい鉄道だ。

 しかしそこに「施設の老朽化」が立ちはだかる。レールや枕木の交換、鉄橋のサビ止め塗装など、今後は年間10億円、30年間で338億円の設備更新費用がかかることが見込まれている。「現在の補助金では限界があるのではないか」と平成筑豊鉄道は察して、自治体に法定協議会の設置を要請した。

 上下分離で鉄道を維持するか、バス路線に転換するか、線路を舗装してBRT路線にするかという選択肢がある。バスの運転士も足りない。BRTは線路の舗装費など初期投資が大きい。鉄道を維持した場合、下を受け持つ自治体に、将来の負担増の覚悟はあるか。


平成筑豊鉄道田川線、長いホームは国鉄時代の名残り(筆者撮影)

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