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倍率“100倍超”で応募殺到 甲子園開催「ドコモ未来フィールド」に潜入した(1/3 ページ)

通算17回目となるドコモ未来フィールドは阪神甲子園球場が舞台ということもあって応募の倍率が100倍を超えた。子どもたちがさまざまなプロの世界を体験できる同事業に“潜入”した。

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 「ミスるかもしれん」

 「ミスってもええんや。思い切りいけ。おー、ホームラン!」

 阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)の室内練習場でティーバッティングをする小学生。そのかたわらには一際身体の大きな男性が。北海道日本ハムファイターズ、オリックス・バファローズ、そして阪神タイガースで活躍した元プロ野球選手の糸井嘉男さんだ。奥のバッティングゲージには、同じく元プロ野球選手の今成亮太さんの姿も見える。


小学生にバッティングを教える糸井嘉男さん

 指導を受けているのは、小学1年〜6年生の30人。約1時間半みっちり、ピッチング練習とバッティング練習が行われた。

 実はこれ、単なる野球教室ではない。NTTドコモが取り組む社会貢献事業「ドコモ未来フィールド」の一コマである。ドコモ未来フィールドとは、子どもたちがさまざまなプロの世界を体験できるプロジェクトのこと。2023年8月にスタートし、NHK交響楽団、大宮アルディージャなどとタッグを組み、文化およびスポーツに関する体験プログラムを提供してきた。

 NTTドコモ ブランドコミュニケーション部 コーポレートブランド担当主査の島﨑大介氏は、立ち上げた背景を以下のように語る。

 「文部科学省のデータによると現在、夢を持つ子どもたちが減少しています。未来に明るい希望を持てるよう、ドコモでできることはないか、ただ金銭的な支援をするだけでなく、企業や団体と協力して、より世の中にとって価値のあることができないかを考えました」

 その上で、本施策は「子どもたちに夢を、あるいは夢に近づく目標を持ってもらうためのもので、協賛などでつながりのあるパートナー企業とともに、スポーツや文化、学術などの体験機会の場を提供している」と説明する。

 「子どもだけを対象にするのではなく、保護者向けの体験プログラムも用意し、家族で将来を語るきっかけづくりができるよう、他部門や地域の支社とも連携し、復興支援や地域貢献も拡大しています」

 そして2月22日、通算17回目となるドコモ未来フィールドが開催された。過去にはサッカーをはじめ、ラグビー、ボクシングといったスポーツを題材にしたイベントはあったものの、野球は今回が初めて。しかも阪神甲子園球場が舞台ということもあって応募が殺到した。


100年以上の歴史を持つ阪神甲子園球場

 通常は倍率10倍程度とのことだが、この回は100倍以上。子どもと保護者などのペア30組の枠に対して全国から3000組を超える応募があった。最も遠方からの参加者は横浜市からやってきた親子。アツヤくんは現在小学6年生で、学童野球チームでは投手と中堅手を務める3番打者だ。

 「(今日掛けられた声で一番印象的だったのは)今成さんにもう少し前のポイントで打つようにと言われたこと」と、技術的な指導が心に響いたようだ。

 本稿では同日のイベントの模様とともに、このプロジェクトに対するNTTドコモの狙いなどをお伝えする。

早々に写真撮影スポットがお目見え

 「皆さん、おはようございます!」

 本イベントの立案者の一人であるNTTドコモ ブランドコミュニケーション部 コーポレートブランド担当・三浦海帆氏がこう挨拶すると、参加者から一斉に大きな声で返事があり、拍手が巻き起こった。


イベントの開始を待ち侘びる参加者たち。早くも熱気に溢れていた

 定刻の午前10時30分を少し早まるタイミングで、「第17回 ドコモ未来フィールド」が幕を開けた。三浦氏による一日の流れや注意事項などのオリエンテーションが終わると、参加者は控え室から通路に出て列を作るように促される。

 スタジアムツアー案内役の男性から説明があった後、一同が前方に注目すると、壁からパネルがゆっくりと降りてきた。そこは、阪神甲子園球場での試合後にタイガースの選手がインタビューを受けるスペースであることが判明。早くもその場で記念撮影が行われた。


インタビュースペースで記念写真撮影

 撮影が一巡したところで、参加者たちは再び列を成し、案内に従って通路を歩いていく。しばらくして到着したのは、一塁ブルペン。阪神甲子園球場が提供する有料のスタジアムツアーでは、三塁ブルペンを見学することはできるものの、一般の人たちが一塁側に入るのはかなり異例のこと。球場のスタッフに聞くと「ほんまにレアですよ」と何度も強調していた。

 ここでは20分ほど自由時間に。各々、マウンドに立って投球ポーズをとったり、打席でスイングしたりして、和気藹々(あいあい)と撮影に勤しんでいた。

 余談だが、ブルペンマウンドの固さに驚いたため、先述のスタッフに尋ねたところ、メジャーリーグベースボール(MLB)仕様になっているからだという。当然、球場の実際のマウンドも同じ固さだ。そのために特注の土を取り寄せているそうだ。多くの日本人選手がMLBを目指すようになった今、時代の流れだといえよう。

岡田監督も座ったベンチ

 一塁ブルペンを後にした参加者たちが向かった先は……。なんとグラウンド内だった。午前のプログラムのメインイベントである。


一行は阪神甲子園球場のグラウンド内へ……!

 アルプス席とSMBCシートの間にある通用口からグラウンドに出て、ファールゾーンを歩き、一塁ベンチへと辿り着く。この場所もなかなか一般には開放しないため、実に貴重な体験となった。参加者は大人も子どもも大興奮だ。「あ、ここは岡田(彰布)監督が座っていたとこやな」などと口にしながら、感慨深い表情で撮影をしたり、ベンチに腰をかけたりしていた。


阪神タイガースの選手や監督などが使用する一塁ベンチ

 さらには、スタッフが甲子園の土を手にして登場。触るだけならOKとのことで、その場の全員が前のめりに。筆者も体感してみたところ、サラサラとしていながらも、適度な粘度もあり、少し触っただけだが手にはしっかりと土がこびりついていた。

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