EVは本当に普及するのか? 日産サクラの「誤算」と消費者の「不安」:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ)
日産の軽EV、サクラの販売が伸び悩んでいる。EVは充電の利便性に課題があることに加え、リセールバリューの低さが問題だ。ならばPHEVだ、という傾向もあるが、PHEVにも将来的に懸念される弱点がある。EVやPHEVを快適に使うためのシステム整備が求められる。
高根英幸 「クルマのミライ」:
自動車業界は電動化やカーボンニュートラル、新技術の進化、消費者ニーズの変化など、さまざまな課題に直面している。変化が激しい環境の中で、求められる戦略は何か。未来を切り開くには、どうすればいいのか。本連載では、自動車業界の未来を多角的に分析・解説していく。
日産サクラの販売が伸び悩んでいる。日産にとって数少ない稼ぎ頭である軽規格EVのサクラは、2022年6月に発売され、その年は7カ月間で2万1000台の販売を記録。翌2023年は3万7000台にまで伸びた。しかし、2024年は2万3000台を下回っている。
2022〜23年には月販4000台を超えたこともあったが、2024年は3000台を超えたのが3月のみで、4月には910台にまで落ち込んだ。その後は1500〜2500台の間で推移している。
昨年4月に販売台数が大きく落ち込んだのは、補助金の申請時期とも関係があるのだろうが、その後も1500台程度に落ち着いている。これは、欲しい人がある程度購入したことに加え、EV購入に慎重な人が多いことも影響しているのだろう。
また、購入したものの、やはり長距離移動の重要性を再認識して別のクルマに乗り換えるユーザーも続出しているようだ。これはサクラに限ったことではなくEV全体の問題で、特に一充電の航続距離が200キロと短いサクラでは、この問題が深刻化しやすい。
そもそも長距離移動には向いていないクルマであり、それを承知で購入したはずなのに、実際に利用してみて「やっぱり長距離移動も必要だ」「その時だけレンタカー利用なんて無理」「急速充電器探しが面倒」なんて思いを抱くようになって、ガソリンエンジン車へと回帰するユーザーも増えているらしい。
これは日産サクラというクルマが悪いのではない。EVが持つ問題点によってサクラの販売台数が伸び悩み、リセールバリューを低下させているのだ。
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