2015年7月27日以前の記事
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EVは本当に普及するのか? 日産サクラの「誤算」と消費者の「不安」高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)

日産の軽EV、サクラの販売が伸び悩んでいる。EVは充電の利便性に課題があることに加え、リセールバリューの低さが問題だ。ならばPHEVだ、という傾向もあるが、PHEVにも将来的に懸念される弱点がある。EVやPHEVを快適に使うためのシステム整備が求められる。

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バッテリーの将来的な寿命が分からない

 バッテリーの劣化状況を計測して判断する技術も開発されているが、それはあくまで計測時点の性能を把握できるに過ぎず、そこからどのように劣化が進むかは依然として分かっていない。健全なセルがいつ寿命を迎えるのか、分からないのである。

 これがユーザーの不安要素となり、中古EVは安くても手を出しにくいクルマとなっている。

EVの充電ソケットに接続するだけで、バッテリーの劣化具合を診断してくれるシステムが開発されている。しかし、その後どのように劣化が進むかは、バッテリーの個体差と使われ方などによって変わっていくため予測は難しい(筆者撮影)

 かつて日産がリーフを生産するために立ち上げた電池製造会社オートモーティブ・エナジー・サプライ(AESC)は、今では中国企業エンビジョンの傘下となっている。現在はAESCジャパンとして、最もエネルギー密度が高い三元系(ニッケル・マンガン・コバルトを使用)リチウムイオンバッテリーを中心に、安全性の高いリン酸鉄リチウムのバッテリーを生産。さらには、より耐久性と安全性が高く、エネルギー密度も高い全固体電池を開発中だ。

 これまで17年にわたって三元系を生産していながら、その生産現場や搭載車両で直接的な火災事故などは1件もないことが、驚異的であり世界に誇れる実績だ。そのAESCジャパンのCTO、明石寛之氏にEV用電池開発の最新技術とこれから取り組む課題について話を聞いたことがある。

 その際、筆者は「EVのバッテリー寿命を判断できないことが、EVのリセール性を上げられない原因なのでは?」と明石CTOに尋ねた。すると、「EVを業務で一定台数使用している企業と提携して、継続してバッテリーの劣化具合をモニタリングしていくことで、バッテリーの劣化の傾向をつかみ、推測できるシステムの開発につなげたい」と答えてくれた。

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