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王者Suicaに挑むタッチ決済、その実態と課題「ポイント経済圏」定点観測(4/5 ページ)

電車などの乗車時に、クレジットカードのタッチ決済が使えるようになる動きが徐々に広がっている。これまで交通系ICカードの分野ではSuicaが圧倒的な存在感を誇っていたが、今後この勢力図はどう変化していくのだろうか。

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広がる可能性と江ノ電の事例

 Pass Caseで取り扱うサービスの第一弾として、江ノ島電鉄の1日乗車券「のりおりくん」が選ばれた。従来、この乗車券は駅の券売機や窓口での購入が大半を占めていた。江ノ島電鉄の嶋津氏は「混雑時には列に並ばなければいけない、あるいは現金を用意しなければいけないなど、お客さまには不便をかけていた。Pass Caseにより、いつでもどこでも事前に『のりおりくん』を購入できるようになる。駅に着いたらスマホを出すことなく、カードをそのままタッチして電車に乗れる」と期待を示す。


PassCaseアプリ。アプリでは「のりおりくん」(江ノ電1日乗車券)を購入できる。江ノ島電鉄の駅改札前で

江ノ島電鉄の改札口に設置されたタッチ決済対応の読み取り機。左側の青いパネルが「タッチ決済」マークで、各種クレジットカードブランドのロゴも表示されている

 Suicaにはできなかった利便性が生まれてくる。例えば定期券だけにとどまらず、1日の乗車金額が上限になるとそれ以上は課金されないキャップ制や回数割、住民割なども実現できる。さらに宿泊や買い物などと乗車券を組み合わせた企画乗車券も可能になる。

 江ノ島電鉄は混雑分散化を課題としており、「移動データを分析し、旅客波動に合わせて分散化に寄与するようなお得なチケットを販売することなども考えていきたい」と嶋津氏は述べる。また、クレジットカードの強みである属性や消費動向のデータを活用し、「一人一人に適した提携店を提案するような仕組みができれば、お店の売り上げにもつながり、江ノ電としても地域経済の発展に微力ながら貢献できる」と期待を寄せる。

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