結婚式場は3割が赤字なのに、なぜ「イワイオモテサンドウ」は予約が埋まるのか（3/5 ページ）

　帝国データバンクの最新調査によると、結婚式場の運営企業104社のうち、33.3％が赤字経営（2023年度）だった。「ジミ婚」や「ナシ婚」がトレンドとなるなか、3年以上も売れ続けている結婚式場がある。「ゲスト中心」の設計だというが、どんな式場なのか。

[小林香織，ITmedia]

個性の表現より「つながり」を重視

　クレイジー社は、イワイの開業前、完全オーダーメイドのウェディングプロデュース事業「CRAZY WEDDING ordermade（クレイジーウェディングオーダーメイド）」を展開して、新たな市場を切り開いてきた。同事業は、画一的な従来の結婚式とは異なり、結婚式ごとにコンセプトを打ち立て、ゼロから作っていくものだ。

　通常の結婚式の相場より100万〜150万円も高額になるが、2人の理想を詰め込んだ結婚式をあげられるため、とにかくこだわりたい新郎新婦に選ばれてきた。同事業はすでにクローズしているが、累計1500組の結婚式をプロデュースしてきた。

イワイでは、派手な演出よりもゲストとの”つながり”を重視

　CRAZY WEDDING ordermadeを通じて得られた新郎新婦やゲストの“本音”を生かして誕生したのが、イワイだ。キラキラした装飾や派手なコンテンツ、豪華なドレスなど“映える”結婚式が支持される一方、「時代の流れの中で違ったインサイトが見えてきた」という。

　「『人とは違う感動を届けたいけれど、そこまで目立ちたくない』という声が増えてきたんです。『個性を表現するより、大事な人たちともっと深くつながりたい』と。そこで『結婚式の本質的な価値』を見直し、ゲストの満足度を追求した自社の結婚式場を持つという結論にいたりました」

吉田氏はクレイジー社のサービスを使って結婚式を挙げた後、入社した（筆者撮影）

　2019年のイワイ開業後、一時はコロナ禍の影響で売り上げが落ち込んだが、その後は順調に拡大。常に予約が埋まる人気の式場になった。クチコミでの評価が高く、結婚式場のクチコミサイト「ウエディングパーク」のランキング（東京）では、3年連続で1位を獲得している。