2015年7月27日以前の記事
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便利すぎるクルマは魅力か、それとも退屈か? ソニー・ホンダ「AFEELA 1」が問いかける“クルマの価値”高根英幸 「クルマのミライ」(5/6 ページ)

ソニー・ホンダモビリティの新型「AFEELA 1」が注目されているが、機能やサービスは魅力的なものになるだろうか。運転の簡略化やクルマのソフトウェア化が加速する中で、クルマというモビリティだからこそ実現できる体験を提供していくべきだ。

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エンタメ以外でも「魅力的な体験」はつくれる

 UXを移動中のエンタメ観賞に頼るようでは、自動車産業の未来は暗い。では、UXを魅力要素の一つとするモビリティの代表格となるEVは、今後どのように進化していくべきだろうか。

 ソニー・ホンダのAFEILA 1は、ドライブルートやプランの提案などにAIを活用するというが、前述の通りスマホでもできることをクルマに搭載するのはあまり意味がない。クルマというモビリティだからこそできる機能や能力を生かしたUXを提案できなければ、ユーザーは価値を見いださないだろう。

 自動運転技術が進展しているが、ドライバーに必要なのは運転支援システムだけではないだろう。例えば、運転を評価・診断したり、危険要素を指摘したりして、運転の改善のために練習できるシステムを搭載したらどうだろうか。


独自の自動運転システムを開発しているベンチャー、TURINGは2023年のジャパンモビリティショーにスポーツカーと自動運転を組み合わせたコンセプトモデルを出品。自分で運転する時にはスポーティなハンドリングを楽しみ、それ以外では自動運転で快適に安全に移動するコンセプトだ。これも自動運転で提供できるUXの一種といえないだろうか(筆者撮影)

 筆者は以前、運転講習を行うベンチャー企業に参画していたことがある。だが、お金を払ってわざわざ自分の運転のダメ出しをしてもらうドライバーや企業はまだまだ少なく、最終的に事業は頓挫した。

 しかし、人間ではなくAIが診断すれば、状況は変わるかもしれない。辛辣(しんらつ)な評価でも、機械的に診断すれば反発も少なく、受け入れられやすいはずだ。

 高齢ドライバーによる運転ミスを予防・改善する効果も期待できるし、運転の楽しさに気付けるドライバーも増えるのではないだろうか。

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