便利すぎるクルマは魅力か、それとも退屈か? ソニー・ホンダ「AFEELA 1」が問いかける“クルマの価値”:高根英幸 「クルマのミライ」(6/6 ページ)
ソニー・ホンダモビリティの新型「AFEELA 1」が注目されているが、機能やサービスは魅力的なものになるだろうか。運転の簡略化やクルマのソフトウェア化が加速する中で、クルマというモビリティだからこそ実現できる体験を提供していくべきだ。
AIを「安全運転のサポート」に活用する
トヨタの高度運転支援システム「Advanced Drive」は導入当時、トヨタ・チームメイトというサブネームが与えられていた。これはドライバーと自動運転によって安全運転を目指すシステムであり、協力し合って走行するという考え方を示していたのだ。
レベル3を実現できる能力を備えていながら、あえてレベル2にとどめ、その余力をきめ細やかな運転制御に活用し、ドライバーを過信させないようにする。それこそが当時のトヨタの自動運転に対する考え方だった。
筆者の考えるシステムは、それに加えてコーチング機能を兼ね備えたものだと考えれば、理解してもらえるのではないだろうか。車線逸脱防止機能など、運転を補助してくれる機能は多くのクルマに盛り込まれているが、積極的にコーチングしてくれる機能はまだ存在しない。
そんな教習車みたいなクルマは欲しくない、という声も上がりそうだが、実際には普通のクルマであり、AIが提供するサービスの一つとなるのだから費用負担も少なく、クルマの内外装にも影響を与えることはない。高齢ドライバーには必要な装備として、家族など周囲の人には歓迎されるのではないだろうか。
筆者プロフィール:高根英幸
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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