「中野サンプラザ 白紙化」の衝撃 なぜ再開発は止まったのか(4/6 ページ)
再開発が頓挫する場所が出ている。資材や人件費の高騰などが原因ではあるが、今後の再開発はどうあるべきなのか……。
PFI方式も、再開発の頓挫を加速させる
こうした再開発の頓挫がさらに加速する要因になり得ると筆者が思っているのが、PFI方式の普及だ。
PFI方式とは、簡単に言うと公共事業を民間の資本を使って進める手法だ。民間事業者が建設・運営にも関与し、事業として利益を上げることを前提とした仕組みであり、自治体の財政難などにより近年注目が高まっている。しかし、民間企業はどうしても事業収益性を考えざるを得ないため、採算が合わない案件に手を出さなくなるデメリットもある。
この例として挙げられるのが、国立劇場だ。大きな再開発案件に隠れて意外と知られていないが、国立劇場も現在、その建て替え工事がストップしている。
日本の伝統芸能の中心として長く公演を続けてきた同劇場は、2023年10月に施設の老朽化の影響などから一時閉鎖。その後、建て替えも含めたリニューアル工事を行う予定だったが、いまだにその請負業者が決まっていない。二度の入札を行ったが、一度目はどの事業者も手を挙げず、二度目は応募した事業者はあったものの辞退してしまった。要するに、建物だけ閉館して、そのままの状態になっているということだ。
すでに説明したような建築費の高騰に加え、「半蔵門」という立地で伝統芸能を主にした公演では事業の採算が取れないと判断されたことも大きいだろう。
事業収益性を第一に考えるPFI方式が裏目に出てしまっているといえる事例だ。
それぞれ個々の事情は違うが、建設費の高騰や建設業者の選別受注、さらにPFI方式の普及などによって、一度決まった計画が頓挫してしまう例が増えているのである。
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