大阪・関西万博に忍び寄る“デジタルの影” サイバー攻撃は開幕前から始まっていた:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
大阪・関西万博が4月13日に開幕する。こうした国際的なイベントの開催時には、サイバー攻撃が多く発生している。今回の万博では今のところ大きな被害はないが、不正アクセスや偽サイトなどが確認されており、注意が必要だ。
オリンピックや国際会議が狙われる
これまで多くの国際的なイベントで、イベント関係者やイベントに関与している民間企業を狙ったサイバー攻撃が確認されている。
2018年開催の平昌冬季オリンピックでは、開会式を標的とした「オリンピック・デストロイヤー」と呼ばれる標的型マルウェア(悪意ある不正プログラム)によるサイバー攻撃を受けた。攻撃は、ドーピング疑惑で出場停止に追い込まれたロシアを拠点とするサイバー攻撃グループによるものだとみられ、民間企業が関わるWi-Fiや放送のシステム、チケット販売システムなどで広範囲なシステム障害が発生した。目的は妨害工作だったとみられる。
オリンピックが標的となったケースでは、2012年のロンドン大会や2016年のリオデジャネイロ大会でもサイバー攻撃の被害が確認されている。
また国際会議では、2011年2月にフランスのパリで開催された、G20財務大臣・中央銀行総裁会議で、マルウェアが添付された電子メールが確認された。マルウェアは政府高官のコンピュータに感染し、さらに他の人にメールを転送するなどして拡散。フランスの財務省の17万台のコンピュータのうち約150台に感染したという。アクセスされたコンピュータの所有者のほとんどはG20に関連する業務に従事していた。攻撃者は税金や金融情報、機密情報を狙っていたと報告されている。
また国際的なイベントでは、ハクティビストが関係企業などを攻撃する傾向がある。ハクティビストとは、サイバー攻撃を行う「ハッカー」と、活動家という意味の「アクティビスト」を足した言葉で、サイバー攻撃によるインターネット上の活動や運動を行う人たちだ。有名なところでは、アノニマスという集団があり、政治的な抗議を目的として民間企業に対するサイバー攻撃を仕掛けてくる。多くの場合、大量のデータを送り付けてくるDDoS攻撃だ。
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