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KDDIが生成AIフル活用で挑む! 「ワコンクロス」は人手不足の業界を救えるか変革の旗手たち〜DXが描く未来像〜(2/2 ページ)

企業はビジネスプラットフォーム「ワコンクロス」によって、どのように課題解決できるのか。AIの強みをどう生かせるのか。ワコンクロスを担当するビジネス事業本部プロダクト本部の野口一宙副本部長に狙いを聞いた。

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ワコンクロスの中核となる生成AI活用

――ワコンクロスにおける生成AIの位置づけや今後の活用について教えてください。

 生成AIは、もはや全ての領域で欠かせない存在であり、ワコンクロスにおいても中心的な役割を果たしています。私たちは生成AIを特定のチームだけが扱うものではなく、ネットワークレイヤーを含む全ての分野で活用すべきものとして捉えています。実際、通信の運用保守に生成AIを取り入れ、業務の高度化を進めています。また、ワコンクロスが展開する6つの協調領域でも、生成AIのアイデアや適用が次々と広がっています。

 例えばリテール分野では、従来手動で行っていた商圏分析を、自然言語で質問するだけで答えが得られる仕組みを導入しました。これによりデータ活用の操作性が劇的に変化しました。さらに店舗オーナーや店長が日々直面する課題に対し、アドバイスを提供するAIエージェントとして機能する技術も開発が進んでいて、その実現は目前です。

 技術的には、大阪府堺市のデータセンターでGPU基盤を「As a Service」として提供する準備を進めています。この基盤上で松尾研発スタートアップのELYZA(イライザ)社などのLLM(大規模言語モデル)を運用し、多くの企業やグループ会社が利用できる環境を整備しています。生成AIは単なる技術ではなく、ワコンクロス全体を支える中核として位置づけていて、その活用は今後さらに拡大していくでしょう。

――NECのBluStellar(ブルーステラ)では、生成AIの登場がブランド立ち上げに影響しました。ブルーステラと同時期の2024年5月に立ち上がったワコンクロスの場合は、どうでしょうか。

 ワコンクロスの場合は、時代背景が大きな要因です。KDDIは幅広いユーザー接点を持つ企業であり、その接点がAIとデータの時代において新たな価値を生み出すタイミングだったと捉えています。

 もちろん生成AI技術の進展も重要な要素ですが、それだけではなく、多くの条件が整ったことでブランド化へと進むことになりました。例えばイライザを含む多くのグループ会社との連携が進んだことも一つの要因です。このような背景から、ワコンクロスは時代に即した形で誕生したブランドだと言えます。

月額処理できるKDDI最大の強み

――KDDIならではの絶対的な強みについて、どのように捉えていますか。

 当社の強みは、広範なユーザー接点を持つことに加え、大手パートナー企業との事業創造を先んじて進めている点にあると思います。例えば、モビリティ分野ではトヨタ自動車とコネクテッドカー事業を展開し、IoT分野では電力事業者とスマートメーターを手掛けています。リテール分野ではローソンとの協業を進め、カメラ技術ではソニーグループとも連携しています。このように大手フラッグシップパートナーとの協業を通じて、新しい事業を立ち上げることが、他の通信キャリアとは異なる点だと感じています。

 さらにKDDIは、単にプラットフォームを提供して購入してもらうアプローチではなく、実際に事業を開発しながら価値創造する姿勢を持っています。例えば同業他社でも、ソフトバンクが関連事業会社を買収して展開するモデルとは異なり、KDDIは子会社も活用しつつ、自社内でコネクテッドカーやその他の事業を構築しています。

――KDDIの前身の一つである第二電電は、京セラ、三菱商事、ソニーグループなど25社の出資を受けて設立しています。もう一つの前身企業である日本移動通信(IDO)も、トヨタ自動車・東京電力などの出資を受けて設立しています。こうした設立の背景がパートナーシップを重視するDNAになっているのでしょうか。

 それは確かに当社の特徴だと思います。KDDIは合併会社として立ち上がった経緯もあり、社内でも昔からパートナー企業との付き合い方について厳しく指導してきました。特に「上から目線にならずパートナーに寄り添う」姿勢は、歴代トップから何度も言われてきている行動指針です。トヨタやローソンなどとの協力関係も、この考え方の延長線上にあるものだと思います。

――パートナーシップを重視する柔軟性が、従量型の月額制というビジネスモデルにつながっているのではないかと思います。

 この柔軟性は、他のSIer企業に対する強みだと捉えています。当社はリカーリング型、月額制のビジネスモデルに強みがあります。この背景には会計処理や月額請求システムなどが整備されていて、それが当たり前のように機能している点があります。他社では月額制への移行が難しい場合もありますが、当社では長年にわたって設備投資を回収しながら月額で提供する仕組みを確立しています。

 この考え方はB2C領域にも応用されており、「povo 2.0」のような使いたい時だけ利用できるモデルにも反映されています。IoT分野ではSORACOM(ソラコム)など柔軟性の高い料金体系を持つサービスも展開しており、このような自由度が他社にはない特徴だと思います。

――今後、具体的に解決したい社会課題について教えてください。

 現在の最重要課題として、日本の人口減少への対応が挙げられます。この問題に対して、生産性向上と売上拡大を両立させる取り組みが急務です。リテールや物流分野では、この課題解決に向けた具体的な活動を進めています。

 また、日本が得意とするモビリティ分野では、自動運転社会の実現に向けたロボティクス技術の推進や、世界への貢献も重要なテーマです。これらの分野で新しい価値を創造し、日本が持つ強みを最大限に生かした取り組みを進めていきたいと考えています。

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住信SBIネット銀行のカスタマーセンターでは、フルクラウド型コンタクトセンターや生成AIによる自動応答などをいち早く取り入れることで急成長する事業を支えてきた。その成果と、生成AI時代のカスタマーサポートのあるべき姿とは?

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