コラム
上司「今度の歓迎会、参加必須だぞ」←これってパワハラに当たりますか? 弁護士が解説(1/3 ページ)
職場で起こりがちなケースを基に、ハラスメント問題に詳しい佐藤みのり弁護士が詳しく解説します。
Q&A:これってハラスメント?
職場で起こりがちなケースを基に、ハラスメント問題に詳しい佐藤みのり弁護士が詳しく解説します。
Q: 新入社員が配属される部署の課長が、課のメンバーに対して「全員で歓迎したいから、夜の歓迎会には必ず参加するように」と言いました。これって、パワハラに当たりますか?
佐藤みのり 弁護士
慶應義塾大学法学部政治学科卒業(首席)、同大学院法務研究科修了後、2012年司法試験に合格。複数法律事務所で実務経験を積んだ後、2015年佐藤みのり法律事務所を開設。
A: 言い方やしつこさなどにもよりますが、歓迎会に必ず参加するよう伝えるだけでは、パワハラには当たらないでしょう。
会社は、従業員に対し、業務として歓迎会に参加するよう求めることができます。勤務時間内に歓迎会を開催する場合はもちろん、勤務時間外に開催する場合であっても、業務として参加を強制することは可能です。ただし、勤務時間外の場合には、残業代の支払いが必要になります。
判例上、労働基準法上の「労働時間」とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」とされています(最高裁平成12年3月9日判決)。指揮命令下にあるといえるかどうかは客観的に判断されます。
歓迎会などの懇親会については、(1)業務遂行上、必要不可欠なものと客観的に認められ、かつ、(2)それへの出席・参加が事実上強制されているような場合に「労働時間」に当たると判断した裁判例も存在します。
従って例えば
- 会社が歓迎会を、社内の親睦を深め、円滑なコミュニケーションのために必要なイベントと位置付け、歓迎会の中で業務にかかわる指導も計画しているなどの事情がある
- 従業員全員に必ず参加するよう求めている
- 休んだ場合、欠勤扱いとされ、人事評価に影響がある
- 歓迎会の費用を会社が負担し、場所も会社が指定しており、移動の際も会社の所有する自動車が使われる
――などの事情があると、会社から義務付けられた行事であり、指揮命令下にあったと判断されやすくなります。
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