キムタク、長澤まさみ、横浜流星、羽生結弦――なぜ中国ブランドは国民的スターに頼るのか:スピン経済の歩き方(4/5 ページ)
ここ数年、人気芸能人が中国メーカーのCMに出演する機会が増えている。なぜ中国企業は日本のCMに「分かりやすいスター」を起用するのか。その理由は……。
著名人が中国企業のCMに出演するリスク
実際、今回ファーウェイの広告にキムタクが起用されたことを受けて、娘のKoki,さんのハリウッド進出の足を引っ張るのではないかという一部報道が出ている。米中貿易摩擦や安全保障の観点から、同社がトランプ政権から目の敵にされているからだ。
ただ、これは「杞憂」に過ぎない。トランプ大統領があおっている「中国バッシング」は、中国とのディールを有利に持っていくためのパフォーマンスのようなもので、本気で中国ブランドや中国製品を排除するつもりはない。米国経済は「中国企業抜き」では維持できないからだ。
中国は経済規模で米国に劣り、さらに中国の対米国輸出依存度は米国側の対中輸出依存度よりもはるかに大きい。米国で製造される「メイド・イン・USA」のものにも実は中国製造の部品が多く使われている。米国は中国抜きで成長できない。
確かに、ファーウェイは米国政府から目の敵にされている。しかし、だからといって「中国依存」という米国経済の現実があり、ハリウッドにも中国資本が多く参加している中で、ファーウェイのCMに出たくらいで、ハリウッドで干されるようなことにはならない。
分かりやすい例が、映画『ワンダーウーマン』で知られる女優ガル・ガドットだ。2018年、ファーウェイが米国に新型スマホ「Mate 10 Pro」を投入する際、ガル・ガドットはブランドアンバサダーに就任し、Web広告や自身のSNSでファーウェイをPRした。
当時は第1次トランプ政権で、米国と中国の間で貿易戦争の緊張が高まり、2018年4月には、米司法省がファーウェイのイランでの不正取引について犯罪捜査を実施していると報道。その後、この容疑を受け、12月にカナダ当局が米国政府の要請により孟晩舟・最高財務責任者(CFO)を逮捕した。
では、そんな「米国が敵視する犯罪企業」のブランドアンバサダーを務めていたガル・ガドットがハリウッドで干されたのかというと、そんなことはない。
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