インタビュー
星野リゾート、オーバーツーリズム解消狙う「山ホテル」とは? 「宿泊税」の是非にも代表が一言(3/3 ページ)
星野リゾートがメディア向けの発表会を実施した。新ブランドの立ち上げや宿泊税の導入、人材採用がサービスの質に及ぼす影響について考察する。
急激な事業拡大、大丈夫か?
最後にもう1つ、これはやや余計なお世話かもしれないが、あえて書く。星野リゾートは2025年から26年の春にかけて7つの施設を新規オープンさせるといい、これに伴い、昨年に続いて今春も約700人を新卒採用したという。だが、この話を聞くと「本当に大丈夫なの?」と思ってしまう。
もちろん星野ゾートクラスの企業であれば、優秀な人材を確保できているのであろうが、これまでも星野リゾートのスタッフは「若い人が多すぎる」という指摘があった。若いことが悪いわけではないが、本当にサービスレベルを保てるのだろうか。
例えば星野リゾートの施設では、その土地の伝統工芸、芸能、食などにコミットしたコンテンツを提供しているが、伝統や歴史の部分の掘り下げ方が足りていないものも見受けられる。これはスタッフが若い世代に偏っていることに起因する部分もあるのではないかと、以前星野代表に尋ねたことがあるが、「施設によって、コンテンツの出来栄えに差が生じているのはあるかもしれないが、うまくいっている施設もあることから、スタッフの年齢によるものではないのではないか」との返答だった。だが筆者は、やはり影響があるように思えてならない。
それに若い人が大量に入ってくれば、育成する中堅・ベテランスタッフへの負荷も相当なものになるだろう。星野リゾートの業容拡大は、コロナ禍で経営が行き詰まった事業者の身元引き受け・再生という面も大きいのだろうが、あまりに急激な拡大でつまずかないことを願いたい。
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