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星野リゾート、オーバーツーリズム解消狙う「山ホテル」とは? 「宿泊税」の是非にも代表が一言(2/3 ページ)

星野リゾートがメディア向けの発表会を実施した。新ブランドの立ち上げや宿泊税の導入、人材採用がサービスの質に及ぼす影響について考察する。

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宿泊税には賛成? 反対?

 近年、観光振興の財源確保の見地から各地で導入の検討が進められているのが、宿泊税だ。既に東京都、大阪府、京都市、福岡市、金沢市などの都市や北海道のニセコ町などで導入されており、4月からは静岡県熱海市でも開始された。熱海市では市内の宿泊施設に宿泊する場合、1人当たり1泊200円の宿泊税が徴収される。この宿泊税について、SNS上では賛否の声があふれている。

 プレス発表会では、宿泊税について星野佳路代表が興味深い意見を述べていた。以下、要約して紹介する。


宿泊税についても言及(出典:星野リゾートの発表会動画)

 宿泊税の導入は条件つきで賛成。しかし、現状のままでは反対だ。宿泊税を導入すると消費者の負担額を増やすことになるため、必ず需要は落ちる。その需要を戻すには値段を下げるしかなく、結局、宿泊税分を加算した上で現在と同じ値段に落ち着くことになる。

 では、この差額(宿泊税分)を最終的に誰が負担するのかといえば、観光客ではなく、ホテルなど観光地の事業者ということになる。

 それでも事業者が宿泊税に賛成する意味は何かといえば、徴収したお金を観光振興に効果的・戦略的に投資してもらえることにある。だが、いまの日本の観光地は自治体にしてもDMO(観光地域づくり法人)にしても、そのような体制になっていないのが実態だ。

 では、どうすべきかといえば、まず観光地経営の視点から、これまでの観光協会や温泉組合の延長ではなく、海外の成功しているDMOのように、プロの経営者をつれてきて経営に当たらせるべきだ。さらに宿泊税は自分たちが負担していると認識し、どう使われているかをきちんと監視していくことも大事になる。

 それから宿泊税は、徴収額が自治体によってさまざまになっている。東京都では宿泊料に応じて100円か200円、京都市は最大1000円、ニセコ町は最大2000円としている。また、北海道の倶知安町のように定率2%という定率制を導入している自治体もある。

 このように全国でルールがバラバラになっていると、宿泊税はホテルなどの事業者が宿泊者から税金分を預かり申告するため、煩雑で手間が増える。観光産業はただでさえ生産性が低いといわれているが、さらに生産性を落とすことにもなりかねない。できるだけシンプルな仕組みにしたほうがいい。

 以上の星野氏の指摘はもっともだと思うが、宿泊税の導入が本当にインバウンドに対して需要減の影響があるのかという点は疑問である。

 現在の円安基調からすれば、インバウンドから見ると日本の多くの宿泊施設の価格はリーズナブルに映る。仮に多めに宿泊税を徴収したとしても、彼らにとって大きな抵抗はなく、地元の負担増につながるとは思えない。さらに、より高額な宿泊税をオーバーツーリズム対策として徴収し、戦略的に使うことも考えていいのではないか。

 一方で、日本人は宿泊税の課税対象外もしくは低額(低率)にすれば問題ないのではないか。この「二重の価格設定」について星野代表は「国籍や人種によって、同じサービスなのに価格差が出るのはどうなのか」(「賢者の選択 サクセッション」2024年7月26日)と発言し、慎重に判断すべきとの姿勢を示している。

 国籍というとたしかに微妙な問題をはらむが、例えば日本に居住しているか否かで課税額を変えても、それが差別になるとは思えない。なお、ニュージーランドなどのように外国人旅行者に対し、環境保護を目的とする比較的高額な国際観光税(IVL)を課す国もある。

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