ホームセンターはどこへ向かう? 新築減少時代の“次なる戦場”:小売ビジネス(2/3 ページ)
新築戸建て市場の縮小で需要減が見込まれている。そんな中、ホームセンター各社は都市型店舗の開発や農業・プロ向け市場への参入を進め、生き残りをかけた差別化戦略に乗り出している。
と、ここまで言うともうお分かりと思いますが、人口減少高齢化が進む地方を基盤としているホームセンターは、今後の急速な需要減少が避けられない環境に置かれている、ということです。こうした状況を十分わかっているHC各社は、家周り需要以外の新たな市場開拓を進めています。
新たな市場とは、大まかに、(1)大都市市場への適合、(2)農業分野の強化、(3)プロ向け建材ニーズの取込み、の3つが挙げられます。大都市部では家周り需要は小さくはなりますが、狭小住宅やマンション住まいでも、家中需要は存在しています。インテリア雑貨、家庭用雑貨、日用消耗品などに絞り込んだ品ぞろえの都会暮し向け店舗を開発して、街の中へ出ていくという考え方ですが、言うほど簡単ではないようです。
都市部需要向けには、既に無印の良品計画が確固たる地位を占めていますし、家具インテリア大手ニトリのデコホーム、最近では100円ショップDaisoから発祥したStandard Productsといった新業態も参戦していますが、HCの存在感はまだほとんどありません。
農業需要の取込みでは、この分野に早くから取り組んでいるコメリが大きな存在感を持っています。この市場では、(1)過疎地でも耐えられる損益分岐点構造、(2)収穫期までの延べ払い対応(金融的機能)、(3)農業への支援機能(販売支援、技術支援など)など、一般的に小売業が持っていないインフラを整備する必要があり、コメリはそこにかなりの投資をしてきました。
この需要の競合は少なく、ブルーオーシャンかもしれませんが、インフラ構築というハードルは高く、他社の新規参入は簡単ではないでしょう。
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