資さんうどんは“一周回って新しい”――? 「ファミレス縮小時代」に、すかいらーくが活路を見出したワケ:小売・流通アナリストに聞く(3/3 ページ)
全国展開に乗り出した、北九州発のうどんチェーン「資さんうどん」。ファミレス市場が停滞する中、250億円で買収したすかいらーくはなぜ、資さんうどんに期待を託したのか。
すかいらーくの転換点に?
資さんうどんの買収はすかいらーくHDにとって、2014年の再上場後、初のM&Aとなる。これは単なる業態追加にとどまらず、戦略的な転換点ともいえそうだ。同社は2027年12月期までに、3〜5件のM&A実施を目標に掲げている。
「ゼンショーHDが“買いまくる”企業であるのに対して、すかいらーくHDはこれまで、M&Aを積極的にはやってこなかった。ガストもジョナサンもバーミヤンも、自社で立ち上げた業態です。しかし、それにも限界が来ているということだと思います。今後もこうした、ローカルチェーンの発掘が進む可能性があります」(中井氏)
資さんうどんはすかいらーくHDにとって、既存不採算店舗の受け皿にもなりうる。2025年に新規出店する21店のうち、12店はガストをはじめとした既存ブランドからの転換だ。「こうした転換は、投資コストを抑えながら新たな客層を取り込む有効な戦略です。客層を見極めた上で出店できるという点も強みになります」と中井氏は指摘する。
資さんうどんにとっても、すかいらーくHDの規模は大きなメリットといえる。「大企業グループに入ったことで、原材料の調達コストは下がるはずです。関東にはこれまでなかったチェーン業態ですから、大きな市場の余地もあります。お互いにとって非常にやりやすい環境だと思いますね」(中井氏)
資さんうどんは現在、関東に4店舗を構えている。すかいらーくHDの金谷実社長は2月の決算発表会で「2025年は足固めの年だが、2026年以降は年間40〜50店舗の出店ができるのでは」と期待を込めた。両社の動向に、引き続き注目が集まりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
1日に約2000人が殺到! 「資さんうどん」関東1号店が大盛況 すかいらーく社長「正直驚いている」
12月にオープンした、「資さんうどん」の関東1号店が好調だ。買収したすかいらーくHDは、2025年に21店舗を新規出店する。うち12店舗は、同社他ブランドからの「業態転換」だ。その背景は?
「価格据え置き」でどこまで耐えられる? サイゼが物価高でも値上げせずにいられる理由
飲食チェーン各社で値上げが続く中、耐え続けているのがサイゼリヤだ。同チェーンはさまざまな努力を駆使して、庶民の味方であり続けている。今回はその戦略を深掘りする。
北九州発の「資さんうどん」が関東に上陸、「全国進出」で何を狙う?
資さん(福岡県北九州市)は12月27日、関東1号店となる「資さんうどん 八千代店」(千葉県八千代市)を開業する。北九州を地盤にローカルチェーンとして展開してきた同社は、全国進出で何を狙うのか。
「資さんうどん」東京・神田で3日間の衝撃 北九州発、チェーン店の勢いが止まらない
北九州のソウルフード「資さんうどん」の勢いが止まらない。2023年、大阪に初出店したところ、全店で売り上げがトップに。今年の7月、東京の神田に店を構えたところ、完売が続いた(3日間限定)。なぜ、人気を集めているのか、取材したところ……。


