コラム
日本の“人気車”はなぜこんなにも変わる? 欧米と真逆の市場構造:『自動車ビジネス』(2/3 ページ)
日本では流行に応じて車の人気が移り変わるが、欧米では同じ車種が長く愛される傾向がある。街づくりや生活様式の違いが、自動車文化の差異を生み出しているようだ。
欧州も長いクルマの歴史を持っています。そのため日本とも米国とも異なった特徴があります。まず、欧州各地にある都市は、どこも古く街並みの多くは石造りです。木をメインに家を作り、スクラップ&ビルドを繰り返す日本と異なり、100年も200年も前の建物や建造物が、欧州の都市には残っているのです。
そのため、長い歴史を誇る街ほど、道は狭く、クネクネとうねるように走ります。荒野にまっすぐな道をひいて街を作った米国とは、まったく作りが違います。
そんな街の多い欧州では、昔から小さなクルマが売れています。もちろんセダンも販売されていましたが、ベストセラーになるのは小さなハッチバックです。
ドイツにはメルセデス・ベンツやBMW、英国にはロールスロイスといった伝統を誇る高級ブランドがありますが、数を売るのはフォルクスワーゲン、ルノー、プジョー、シトロエン、フィアットといったドイツやフランス、イタリアの大衆車メーカーでした。そうした大衆ブランドの小さなハッチバック車がベストセラーを競っていたのです。
そうした大衆車メーカーでは、小さいハッチバック、もう少し大きなハッチバック、そしてミドルクラスのセダンとステーションワゴンというのが典型的なラインアップとなっていたのです。
こうした状況が欧州では長く続きます。1990年代に日本で街乗りSUVや乗用車ベースのミニバンが生まれていましたが、欧州では、そうしたモデルは作られませんでした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
名刺の裏に金額を書いて「せーの」で出してきた クルマ買い取りの“入札制度”が面白い
中古車市場は、業者オークションの台頭と買い取り専門店の増加で大きく変化した。今、買い取り業者はどのようにクルマを査定して買い取っているのか。筆者が一括査定を申し込んでみたところ……
なぜヘッドライトがまぶしく感じるクルマが増えているのか
夜間、クルマを走らせていて、対向車や後続車のヘッドライトがまぶしく感じることがある。その原因はどこにあるのか。大きくわけて3つあって……。
なぜ人は「激安タイヤ」を買うのか アジアンタイヤの存在感が高まるリスク
アジアンタイヤが日本で存在感を増している。大きな理由として「安い」ことが挙げられる。しかし、本当にそれでいいのかというと……。
なぜ「プリウス」が標的にされるのか 不名誉な呼び名が浸透している背景
トヨタのプリウスをネットで検索すると、批判的なコメントが多い。ドライブレコーダーの交通事故や暴走ドライバーの動画を目にすることが多いが、なぜプリウスは標的にされるのか。背景を探っていくと……。
なぜ「時速5キロの乗り物」をつくったのか 動かしてみて、分かってきたこと
時速5キロで走行する乗り物「iino(イイノ)」をご存じだろうか。関西電力100%子会社の「ゲキダンイイノ」が開発したところ、全国各地を「のろのろ」と動いているのだ。2月、神戸市の三宮で実証実験を行ったところ、どんなことが分かってきたのだろうか。
