ローソン「マチの本屋さん」は何を変えたか 書店空白地に本棚をつくった(3/5 ページ)
ローソンがトーハンと連携して展開する書店併設型店舗「LAWSONマチの本屋さん」がじわじわ増えている。全国の書店数がどんどん縮小するなか、コンビニに書店を併設することで、どんな効果が生まれているのか。
どんな場所に出店しているのか
「マチの本屋さん」の出店場所は、市町村内に書店が1つもない「書店空白地」や書店が少ない地域となる。
例えば、2023年1月に「マチの本屋さん」としてリニューアルオープンした「ローソン向ヶ丘遊園南店」(神奈川県川崎市)は、店舗のある向ヶ丘遊園駅周辺に書店がない。また、川崎市の人口1000人当たりの書店坪数は約2.9坪で、全国平均の約9.7坪に比べて大幅に少ない(※)。
2025年4月に新規オープンした「ローソン内子五十崎インター店」(愛媛県内子町)は、町内に書店がないエリアだ。2024年9月に閉店した書店の跡地に出店した。
「出店基準の最優先事項は、コンビニとして事業が成り立つかどうか。商圏人口や来店客数の見込み、人流、アクセスなどさまざまな条件を加味して総合的に判断します。そのうえで、より商圏を広げるための施策として、『マチの本屋さん』のビジネスモデルがマッチするかを検討します」
店舗面積はコンビニ部分が約50坪、書店部分が約20坪が平均的で、既存店を「マチの本屋さん」にリニューアルする場合は、書店部分の増床改築工事をすることが多い。ただ、必ずしも工事が必要ではなく、スペースやコストを抑えて導入することも可能だという。
例えば、店舗面積が約35坪の「ローソン石巻相野谷店」(宮城県石巻市)は、書店部分の増床改築工事をせず、店内のレイアウト変更によって「書店スペース」を確保。書店スペースは約5.6坪と標準的な店舗の約4分の1程度で、約2000タイトルを扱っている。
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