ローソン「マチの本屋さん」は何を変えたか 書店空白地に本棚をつくった(4/5 ページ)
ローソンがトーハンと連携して展開する書店併設型店舗「LAWSONマチの本屋さん」がじわじわ増えている。全国の書店数がどんどん縮小するなか、コンビニに書店を併設することで、どんな効果が生まれているのか。
「併売」や「目的来店」が生まれ、売上増に貢献
書店が不足している地域に「マチの本屋さん」を出店して、どんな効果が出ているのか。
これまでの実績では、通常のコンビニの来店層と比較して女性客数が約1〜2割増えるほか、家族連れやシニア層の来店が増える傾向がある。そのため、児童書や女性向けの書籍などを充実させており、売れ行きも良いそうだ。
「お客さまからは、『思った以上に書店部分が広い』『こんなにたくさんの本を取り扱っていると思わなかった』『近隣に書店がなくて困っていたから助かっている』などの前向きなコメントを多数いただいています。通常のコンビニで売れ行きがいい雑誌カテゴリーとその他の書籍の併売が進み、リピーターも生まれていると思います」
書店併設により「目的来店」を促すことにつながり、売上向上に貢献しているようだ。コンビニに来店する目的の多くは、「のどが渇いた」「デザートが食べたい」などで、近くにあるコンビニならどこでもいいという人が少なくない。だが、「マチの本屋さん」は書店があるからという理由で、やや遠方から“わざわざ買いに来る”人が増えているという。
書籍と食料品などを一緒に購入する人も多い。飲料やお菓子、からあげクンなどを書籍と一緒に買っていく人が目立ち、コンビニで扱う食料品類と書籍は親和性が高いようだ。
さらに、ローソンのPBとして書籍コーナーで販売している雑貨類も好調だ。出版社の宝島社と協業して開発している商品のほか、アニメなどのIP(知的財産)とコラボしたアクリルキーホルダーなどのグッズも精力的に展開している。
「これらのPB商品は、『マチの本屋さん』だけでなく、通常のローソンでも販売しています。宝島社さんとのコラボ商品は、毎月3〜4点を発売しています」
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