なぜ“怪しい”のに売れている? リカバリーウェアという不思議なヒット商品:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
リカバリーウェアが売れている。本当に効果があるのかビミョーなところだが、それでもヒットし続けるワケとは――。
着るだけで本当に効果があるのか
一方で、モヤモヤする人も多いはずだ。「着るだけでそんないろいろな効果が出るなんて、さすがにちょっと怪しすぎない?」と疑わしい目で見る方もいるだろう。
その反応はあながち間違っていない。ただ、そういう「ちょっと怪しい」ところこそがリカバリーウェアの魅力であり、ここまでヒットした理由ではないかと思っている。
一体どういうことか、順を追って説明しよう。まず大前提として、リカバリーウェアの宣伝文句を見て「なんか怪しいな」と感じるのは、消費者として極めて自然な反応である。おしゃれなネーミングと有名タレントを起用した広告などで「効果」がやや過大にうたわれているからだ。
リカバリーウェアの一般的な名称は「家庭用遠赤外線血行促進用衣」。人間の体からは、わずかながら遠赤外線が放出されており、鉱物などによる特殊な加工が施された生地の衣服を着ることで、遠赤外線が跳ね返って血行が良くなるという。
「そんなしっかりとしたエビデンスがあるのなら、ちっとも怪しくないだろ!」と不愉快になる愛用者も多いだろうが、若いときに怪しい健康器具やマルチ商法の取材をしてきた経験から言わせていただくと、「遠赤外線で血流改善」をうたう健康器具など、ちまたにあふれている。過去には、似たような商品が「詐欺」や「催眠療法」などとみなされ、摘発や行政処分を受けた例もある。
「でも、これは厚労省が認めた医療機器だろ」という意見もあろうが、リカバリーウェアがうたっている「一般医療機器(クラスI)」というのは「届出制」で審査などはない。つまり国が「効果」にお墨付きを与えたとか、そういう類の話ではないのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「年収700万円」の人が住んでいるところ データを分析して分かってきた
「年収700万円」ファミリーは、どんなところに住んでいるのでしょうか。データを分析してみました。
衰退するシャープは「日本そのもの」か “世界の亀山モデル”が失敗パターンにハマった理由
シャープが、テレビ向け大型液晶パネルの生産を2024年9月末で終了すると発表した。同社はまるで「世界の変化に対応できず」衰退していく「日本そのもの」のようだ。なぜかというと……。
『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』――最も高い家に住んでいるのは? 査定してみた
国民的アニメの主人公は、どんな家に住んでいるのでしょうか? 『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』の自宅を査定したところ……。
「男性用のレース下着」なぜ人気なのか ワコールが販売して分かったこと
ワコールの男性下着ブランド「ワコールメン」から発売された「レースボクサー」の勢いが止まらない。なぜ多くの男性から支持を得ているのか。


