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なぜ“怪しい”のに売れている? リカバリーウェアという不思議なヒット商品スピン経済の歩き方(3/6 ページ)

リカバリーウェアが売れている。本当に効果があるのかビミョーなところだが、それでもヒットし続けるワケとは――。

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厚生労働省による通達

 2025年3月、厚生労働省の医薬局医療機器審査管理課と医薬局監視指導・麻薬対策課が連名で全国の自治体に、「一般医療機器『家庭用遠赤外線血行促進用衣』の取扱いに係る質疑応答集(Q&A)について」という通達を出した。そこにはちゃんとこう記されている。

「一般医療機器(クラスI)とは、人体への影響がごく軽微であるものを対象とする分類であるため、その使用目的や効果においても、使用者への影響はごく限定されたものであることが前提となる」


厚生労働省「一般医療機器『家庭用遠赤外線血行促進用衣』の取扱いに係る質疑応答集(Q&A)について」

 人体から放出される遠赤外線は軽微なので、鉱石で跳ね返したところで人体に及ぼす影響も軽微なのだ。だからこのジャンルでうたうことが認められているのは「疲労の回復」や「筋肉のこりの症状改善」くらいで、一部のリカバリーウェア販売業者が宣伝文句にしている「腰痛」や「神経痛」の改善、さらに「運動パフォーマンスが劇的に上がった」というのは基本的に「アウト」なのだ。

「人体の深部への影響を示唆する効果、また体質改善に有効である等の記載は、上記に示した一般医療機器の定義から逸脱する可能性が高いため、血行促進用衣の『使用目的又は効果』としては認められず、『筋肉痛、腰痛、生理痛、神経痛、関節炎等の症状改善や消炎効果』『むくみの改善』『代謝の促進』『運動効率の向上』『冷え性の改善』等の記載を行うことはできない」(同上)

 もちろん、メーカーの中にはこのような効果試験を行い、有名大学の研究者と組んで論文などを発表しているところもある。しかし、だからといって、それは医学界で効果が認められたわけでもない。

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