NECの“眠らない要塞”に潜入 サイバーセキュリティ事業を強化したワケ(4/5 ページ)
NECは、「.JP(日本のサイバー空間)を守る」をスローガンに、日本のデジタルインフラの安全性を確保するため、サイバーセキュリティ事業を強化する。
警察庁からスカウト
森田社長は以前から、NECの最重要分野としてAIとセキュリティを指摘してきていた。AIについては、2023年7月に独自の生成AI「cotomi」(コトミ)を開発。さらに昨年の5月に新たな価値創造モデルと位置付ける「BluStellar」(ブルーステラ)を発表し、軌道に乗ってきている。
もう一つの課題がサイバーセキュリティだった。2024年以来、官民への攻撃件数が急増していて、対策が急がれてきていた。2025年度のサイバーセキュリティの事業は500億円の売り上げを見込む。森田社長は「この数字は発射台であって、2026年度以降はKDDIとの協業、法案整備の状況などを見ながら伸ばしていきたい」と将来的に有望な領域だとみているようだ。
そこでセキュリティ分野のリーダーとしてインターポール(国際刑事警察機構)でサイバーセキュリティを取り扱う責任者となるなど、この分野に精通している警察庁出身の中谷昇氏をヘッドハント。NECのセキュリティ事業のトップ(最高情報セキュリティ、CSO)に据えた。
中谷氏はサイバーセキュリティについて、内外のリスクが拡大する中で、「これまで日本のサイバーセキュリティ対策を担ってきた、NISC(内閣サイバーセキュリティセンター)の役割も強化され、能動的サイバー防御のための法案も整備されようとしています。このため官民挙げてサイバー攻撃への対応能力を強化する必要があります」と力説する。
国産AIを活用
森田社長は国産AIでなければならない理由について「経済安全保障と国のデジタルインフラを守るということを、外国企業に依存している諸外国はほとんどありません。分からない技術に頼ってインフラを守ることはできません。100%の透明性を持って技術を把握していることが、デジタルインフラを守るうえで必須になります」と語る。
「いまのサイバーセキュリティには95%以上、AIが絡んでいます。これからはAI同士により攻撃と防御の戦いになる中で、このAIがどういう形で動くかということは全て把握しておかなければならず、それは国産でないとできません」と、国産の技術である必要性を強調した。
また中谷氏は、サイバーセキュリティ事業でのNECの強みについて(1)独自のインテリジェンス、(2)国産AIセキュリティ、(3)グローバル展開――の3点を挙げる。NECがこれまで積み上げてきた知見を生かしたサイバーインテリジェンス対策を提供できることに加えて、自社開発のAIを使って、AIが分析までする。「サイバー攻撃に対するリスクを可視化し、スコアリングして対応策を提言してくれます。これは国産AIを使っているからできることです」と利点を強調する。
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