ニュース
カスハラ加害者=消費者という思い込み 企業が従業員を守るために再確認すべきこと(2/3 ページ)
悪質なクレームなど、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止を事業主に義務付ける法案が国会に提出されている。5月16日に衆議院を通過し、今国会で成立の見込みだ。罰則はないものの、すでに東京都では「カスハラ防止条例」が4月1日から施行され、多くの企業でカスハラ対策が進みつつある。
カスハラに対し企業がとるべき対応
こうした従業員に対するカスハラ行為について、企業はどう対応すべきなのか。
条例では事業者の責務として「就業者がカスタマーハラスメントを受けた場合には、速やかに就業者の安全を確保するとともに、当該行為を行った顧客などに対し、その中止の申し入れその他の必要かつ適切な措置を講ずるよう努めなければならない」と規定。何より従業員を守ることが先決であり、「現場責任者などが対応を代わった上で、顧客等から就業者を引き離す、あるいは、弁護士や管轄の警察と連携を取りながら対応するなど、就業者への被害がこれ以上継続しないようにすることが求められている」としている。
カスハラ防止対策では今後、相談窓口の設置など体制の整備が事業者の責務となる。大企業であれば本社の人事部などが対策推進を主導し、相談窓口を設置したり、現場監督者を指定したりして防止体制を築くことが必要だ。
大企業ほど人員に余裕のない中小企業はどうするべきなのか。東京都の指針では、従業員が6〜100人の場合は、対策推進の責任者を経営者や人事責任者が担当。相談対応と現場監督者は、店舗のマネージャーなど就業者の上司が当たることを推奨している。従業員5人以下では、経営者自身が対策推進、相談対応者、現場監督者の役割を兼ねる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
退職代行は「若者の甘え」──安易に切り捨てる企業が「非効率」に陥るワケ
本人に代わり、勤務先に退職の意向を伝える「退職代行サービス」を使って退職する人が増えている。今後、退職代行の利用が増え続けることは企業社会にどのような影響を及ぼすのか。労働者と企業、双方に与えるメリットとデメリットを検証したい。
日本で「新卒からジョブ型導入」は難しすぎる? 企業が制度設計に頭を抱えるワケ
富士通は2026年度から新卒一括採用を撤廃し、ジョブ型を取り入れると発表した。日本版ジョブ型を取り入れる企業もあるが、筆者は新卒採用に適用するのは難しいと考えている。その理由は。
止まらない賃上げの「原資」はどこから? 大手企業も実行する、6つの手法
年々賃上げの圧力が高まっている。業績好調な企業は問題ないが、そうでない企業にも「防衛的賃上げ」が求められている。サイバーエージェントや第一生命HDなども実践する、賃上げ原資を捻出する6つの方法を紹介する。
希望退職後のキャリアは「いばらの道」か 中高年フリーランスのリアル
ミドル転職者を「希望退職」が襲っている。早期退職し、フリーランスを選択するものもいるようだが、意外と苦戦しているようで……
