オーダースーツ「KASHIYAMA」、売上高137%成長 理由は?
オーダーメードスーツブランド「KASHIYAMA」を展開するオンワードパーソナルスタイルが発表した2024年度の決算で、売上高は62億円(前年比137%)を記録した。
オーダースーツが、若者にとって身近な存在になりつつあるようだ。
オーダーメードスーツブランド「KASHIYAMA」を展開するオンワードパーソナルスタイルが発表した2024年度の決算で、売上高は62億円(前年比137%)を記録した。リアル店舗の売上高は前年比152%と、過去最高を更新している。
成長を後押したのは「積極的な店舗展開」「マーケティング戦略」
KASHIYAMAは「オーダーメードの民主化」を掲げ、2017年にオーダーメードスーツの販売を開始した。スーツは税込で3万3000円からという低価格帯を実現。最新のCAD・CAMを導入した自社グループ工場から直接自宅に届ける「ファクトリー・トゥ・カスタマー方式」により最短1週間での納品を可能にしている。
新規顧客数は、前年比152%を達成した。「初回限定20%オフ」など、初めてオーダースーツを購入する際のハードルを下げる施策が、新規顧客獲得に寄与した。
また、若年層や初回購入者を対象に「学割」キャンペーンも実施し、売上高は前年比192%に拡大した。内訳はメンズ210%、ウィメンズ171%といずれも好調。中でもウール100%の高価格帯(学割価格4万円)が人気を集め、前年比621%と大幅な売上増となった。
シワの回復性に優れるウール100%素材は、就職活動や新社会人などスーツの着用頻度が高い層からの支持を集めた。これが、売上増加の要因となっている。
10代の顧客数は前年比260%、20代は137%と大きく伸長した。高価なイメージが強かったオーダースーツが、KASHIYAMAの価格設定や各種キャンペーンによって、若年層にも現実的な選択肢として受け入れられるようになったことが要因とみられる。
2024年度は、オーダースーツ初心者層の取り込みやウィメンズライン拡充が業績拡大をけん引。デジタルマーケティングやキャンペーンが、新規顧客の獲得と既存顧客のリピート率向上に貢献した。
今後、KASHIYAMAは多角的なコミュニケーション戦略を展開し、ブランド認知のさらなる拡大を目指す。また、地方での店舗拡大や売り場面積の増床を計画しており、より多くの顧客に質の高いオーダースーツ体験を提供していく方針だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ユニクロが海外展開先で聞かれた衝撃の一言「わが国に何をしてくれるのですか」
ユニクロが古着販売によって循環型ビジネスに取り組む理由は何か。背景にはファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏が20年以上前に経験した海外展開でのエピソードと、そこから得た強い思いがあった。
ユニクロ「R&Dのトップ」に聞く 世界で勝ち抜くために続けること
ファーストリテイリンググループ上席執行役員ユニクロR&D統括責任者の勝田幸宏氏にインタビューした。ユニクロのものづくりの本質に迫る。
ユニクロ「感動シリーズ」を技術で支えた東レ 事業責任者に聞く舞台裏
感動シリーズ開発の舞台裏を、東レ側の事業責任者でもある東レ グローバルSCM事業部門長の石川元一氏に聞く。
ユニクロ柳井正と佐藤可士和が10年以上議論 たどり着いた「ロードサイド店の答え」
グローバルでの展開も視野に入れた「UNIQLO LOGO STORE」が誕生した背景には、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏と佐藤可士和氏が、ロードサイド店舗の課題について10年以上議論してきた経緯がある。「UNIQLO LOGO STORE」の戦略を読み解く。
ユニクロが「消費電力40%カット」の新店舗を作った理由
前橋市にオープンしたユニクロ 前橋南インター店は新たなロードサイド店舗「UNIQLO LOGO STORE」の第1号店だ
ユニクロ、30年に「リサイクル素材50%」へ 服の修理でもビジネス拡大
ユニクロなどを展開するファーストリテイリングが、サステナビリティの取り組みを強化している。服を大切に長く着られるサービスを提供する「RE.UNIQLO STUDIO」も今後展開する方針だ。だが、このサービスを広げていくことで、新しい製品を買わなくなるのではないかという疑問も浮かぶ。
ファストリUSA総務責任者が語る「女性管理職を半数に引き上げる理由」
ファーストリテイリングがグローバルで進める重要なアジェンダに掲げているのが、女性管理職比率の向上だ。グループ執行役員を務め、ファーストリテイリングUSAで人事や法務を担当するChief Administrative Officerのセレーナ・ペック氏が、米国での人材育成やD&Iの取り組みを説明する。
本田宗一郎が「すぐにやれ」と命じたこと ホンダ倉石誠司会長に聞く
本田宗一郎が、ソニーを創業した井深大に誘われて見に行き、『これこそホンダがやるべきことじゃないか。すぐにやれ』と本社に電話して設立されたのがホンダ太陽だ。本田宗一郎は技術で人を喜ばせて、技術で人の生活の可能性を広げることがホンダのやることだと言ってきた。本田技研工業の倉石誠司取締役会長に「多様性こそがホンダのDNA」だと語る真意を聞いた



