なぜ成果がでないのか──「DX人材の育成」で陥りがちな7つの失敗とは(4/4 ページ)
DX推進の鍵となる人材育成で、約4割の企業が「成果を実感していない」現実がある。この記事では、研修を実施しても現場で活用されない、目的が曖昧なまま進めてしまうなど、典型的な失敗パターンを紹介。再構築のポイントも紹介する。
DX人材の育成 成功するための6つの実践ポイント
DX人材育成の再構築を成功させるには、実行段階で6つのポイントを押さえる必要がある。第1は「育成ゴールの設定・具体化」で、現状のスキル・マインドレベルを可視化し、具体的な「あるべき姿」を再定義する。現状と目標のギャップを分析し、「必要性共有→理解→自分事化→実践→成果創出」といった段階的な育成要素を設計することで、投資対効果の明確化と関係者のコミットメントを引き出す。
第2は「4:2:4の法則」で、研修で成果を出すには研修そのものよりも、研修前の動機付けや研修後の実践フォローの方が重要だという考え方だ。研修効果に影響を与える要素の割合は「研修前:研修中:研修後=4:2:4」とされており、研修前後の取り組みに重点を置く必要がある。
第3は「関係者との連携強化」で、経営層、現場(上司)、人事部、受講者それぞれのステークホルダーとの連携を強化する。研修後に受講生の上司から実践機会提供とフォローがなければ成果につながらない。
第4は「実践型プログラムの設計」。自社の生きた課題を教材とし、演習・課題解決型学習で部門を超えた協働力を醸成する。
第5は「外部パートナーの戦略的活用」で、育成課題の解像度に応じた最適なベンダー選定が求められる。
最後は「効果測定とPDCAサイクル」。研修直後だけでなく、3〜6カ月後の業務適用度や行動変容を多角的に捉える設計が不可欠とされる。受講者自己評価と上司評価の両面から測定し、投資対効果の可視化を図る。
飯田氏は「DX人材育成の成功には知識習得ではなく実践教育を含めて活躍の場を提供する実践的アプローチが必要。研修で終わりではなく、中期的な視点で検証を続けることが重要だ」と指摘。DX推進の成否を左右する人材育成において、典型的な失敗パターンを理解し、体系的な再構築に取り組むことが企業の組織力向上につながりそうだ。
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