無印良品×書店=6次産業? 橿原書店の初月売上が示す“手を取り合う”の未来(3/4 ページ)
橿原書店と無印良品がタッグを組み、書店の6次産業化に挑戦している。初月の売り上げはどうだったのか。新たな“手を取り合う”ビジネスモデルの可能性と未来を取材した。
書店が地域の資源をたばねる役割を担う
橿原書店の役割は、単なる書籍販売にとどまらない。地域のコミュニティー機能を担うことを目指している。その象徴的な取り組みが、地域商材の発掘と展開だ。店内には、橿原神宮前にある土産物店から直接仕入れた埴輪(はにわ)を並べている。
「地域で親しまれている店舗の商品を店頭に並べることで、地元の人が集まり話題となって、その結果コミュニティーが生まれる」と山元さんは語る。この取り組みは、埴輪の仕入れ先である土産物店にも多くの客が訪れるようになるなど、相乗効果を生んだ。
地域との連携は他の分野にも広がる。福祉とアートを融合させた活動を行うグッドジョブセンターと連携し、障害者が制作したアート作品の展示・販売も実施したほか、経済的に本の購入が困難な子どもたちに本の寄贈を行う「あしなが本屋さん」も展開。クリスマス時期に出版業界で行われているチャリティー活動「ブックサンタ」の地域版として、年間を通じて実施していく方針だ。
コミュニティー機能の強化も進める。イオンモールにはシニア層の来客も多いことを踏まえ、書店と隣接するCafe&Meal MUJIは午前8時から営業し、今後は連携した朝活コミュニティーの創出を検討している。また、好調な児童書販売を受けて、絵本の読み聞かせなど店内での体験型コンテンツの拡充も予定している。
こうした地域の活動を通じて、同書店が良い循環を生み出すことを目指す。「書店が地域の『ハブ』となり、さまざまな資源や人が集まることで地域活性化につなげたい」と山元さんは期待を込める。
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