2015年7月27日以前の記事
検索
コラム

なぜ「映画祭」は開催されるのか 文化、経済、国の思惑『映画ビジネス』(3/4 ページ)

カンヌ、ヴェネチア、ベルリンなど世界の映画祭は、作品の発表と評価の場であると同時に、文化力の発信や経済効果を狙った国の戦略でもある。映画祭がなぜ開催されるのか、その背景は……。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

ベルリン国際映画祭

 1951年に映画史家がディレクターとなって開催されたのがはじまりとされています。第二次世界大戦前はドイツ、ベルリンの西側の拠点で、東側の中にある当時の西ベルリンで西側の芸術文化をアピールするという政治的意図があり、当初は東側の作品が除かれていました。

 1976年に第2代のディレクターが就任すると、夏開催から2月開催に変更。1980年に第3代ディレクターが就任すると、ハリウッド映画に重点を置く選定が行われました。しかし、1994年に映画にも波及した関税と貿易に関する一般協定(GATT)の対立で、米国側が映画祭をボイコットする騒ぎとなり、ハリウッド重視の方針に影響を与えました。


(出典:ゲッティイメージズ)

 カンヌ、ヴェネチアと比べ社会派の作品が集まる傾向があり、近年は新人監督の発掘に力を注いでいます。最高賞は作品賞にあたる金熊賞で、同賞の名は熊がベルリン市の紋章であることにちなんでいます。

 日本映画では、1959年に黒澤監督が『隠し砦の三悪人』で銀熊賞(監督賞)、1963年に今井正(いまいただし)監督が『武士道残酷物語』で金熊賞を受賞。近年では宮崎監督の『千と千尋の神隠し』が金熊賞、濱口竜介監督の『偶然と想像』が銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞するなど、多くの日本映画が紹介され、受賞しています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る