「ゴンチャ」人気はなぜ続くのか “タピオカの一発屋”で終わらなかった理由(5/5 ページ)
台湾発のグローバルティーカフェ「ゴンチャ」が、日本上陸10周年を迎えて新戦略「Gong cha 2.0」を進めている。2025年以降に開業した「コンセプトストア」は行列ができる反響で、新たなファンプログラムも会員55万人と好調だ。なぜ、タピオカブームが終わってもゴンチャは成長を続けられるのか。
2028年までに400店舗、6000万人を目指す
ここまでの話は「顧客体験向上」に集中していたが、ゴンチャでは同時に「従業員体験向上」にも取り組んでいる。勤務時の髪色を自由にしたり、店舗のBGMを従業員の好きな曲にしたり、楽しく働ける職場づくりに注力。各々がプロとして自由にやりたいことにチャレンジできる環境を目指しているそうだ。
「従業員にもお客さまにも『ゴンチャを友達や家族に勧めますか?』と聞いて、その数値を高めるための施策を実行しています。どれだけ広告を打つより、家族や友だちから『ゴンチャすごいよかったよ』って言われるほうが『行ってみよう』と思いますよね。推奨度の向上は成長に直結すると考えます」(角田氏)
将来的には、2024年に3012万人だった年間来客数を2028年までに2倍の6000万人へ、店舗数を現在の195から400へ拡大したいという。
「われわれはブームをつくりたいのではなく、ティーカフェの文化を広めたい。当社の調査では、『お茶しよ?』と言われると、『コーヒー』をイメージする方が約7割だと分かりました。一方で、若年層ほど『紅茶』をイメージする割合が高く、家庭で飲む飲料も含めるとコーヒーよりお茶のほうが市場が若干大きいんです。お茶はたくさん飲まれているけれど『お茶専門店』がない。ゴンチャは、この空白を取りにいきます」(角田氏)
ティーカフェといえば、スターバックスの「スターバックス ティー & カフェ」(全国19店舗)、タリーズコーヒーの「タリーズコーヒー&TEA」(全国39件、ともに2025年6月初旬時点)も出店数を伸ばしている。若年層を中心に、じわじわとティーカフェ文化が定着しているのかもしれない。
著者プロフィール:小林香織
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年〜約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月〜は東京拠点。
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