「ゴンチャ」人気はなぜ続くのか “タピオカの一発屋”で終わらなかった理由(4/5 ページ)
台湾発のグローバルティーカフェ「ゴンチャ」が、日本上陸10周年を迎えて新戦略「Gong cha 2.0」を進めている。2025年以降に開業した「コンセプトストア」は行列ができる反響で、新たなファンプログラムも会員55万人と好調だ。なぜ、タピオカブームが終わってもゴンチャは成長を続けられるのか。
会員55万人、ファンプログラムも好調
Gong cha 2.0における顧客戦略として、栗田氏は「顧客の体験価値向上」「毎月1回以上の来店」「長期的な関係構築」の3点を挙げた。
「月1回以上来店いただくお客さまが当社の事業をを支えてくれています。体験価値の向上に努めることでリピート来店を増やし、長くつながり続けていきたい考えです。まだ幅広い年代の女性を狙いにいく段階ではなく、いま10代の方が30代、40代になっても変わらず支持いただけるブランドを目指します」(栗田氏)
具体的な施策の一つが、オペレーションDXだ。まず、2022年に並ばずに注文できるモバイルオーダーを導入した。タピオカブームだった2018〜19年に、お客が集中して行列が絶えない店になり、「混んでいて入りにくい」といった不満が多く聞かれたことから導入を決めたという。
2023年には、国内では珍しい5カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語)対応のセルフレジも導入。2025年5月時点で半数以上の店舗に導入済みだ。一方で、顧客との接点が重要であるとの考えから全店に有人レジを残している。
「お客さまにハピネスを届けるには、高品質な接客が欠かせません。先日は、接客レベル向上を目的に全国のクルーが参加する『サービスコンテスト』を開催しました。決勝参加者にディズニーランドのチケットを贈り、園内で過ごしながらゴンチャ以上にすばらしいサービスを見つけて、発表してもらいました」(角田氏)
この5月には、従来の紙とモバイルオーダーのポイントカードを統合したスマホの新サービス「My Gong cha(マイゴンチャ)」も開始。購入金額に応じたポイント付与のほか、4つの会員ステージも用意した。
長期的な関係構築の狙いから、「一度上がった会員ステージが下がらない」運用としている。顧客のライフステージが変わって頻繁に来れなくなっても、過去からの累計で会員ステージを評価する。「他ブランドとの差別化にもなり、こだわって設計した」(栗田氏)。
マイゴンチャは初日に20万人が登録、約2週間で55万人到達と目標よりハイペースで推移。100万人以上いる既存のモバイルオーダー会員のうち、エンゲージメントの高いマスターとアンバサダー会員は、すでに約8割が移行したという。
7月10日からは学割をリニューアルする。「ENJOY U22割」として、以前は“学生のみ”だった対象を“6歳以上22歳以下のすべての若者”とする。
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