スイート1泊300万円の衝撃 外資だらけの激戦区・京都で「帝国ホテル」は選ばれるのか(2/4 ページ)
2026年春、帝国ホテルでは30年ぶり、4拠点目となる「帝国ホテル 京都」を祇園に開業する。国登録有形文化財の劇場を一部保存、活用した全55室のスモールラグジュアリーホテルとなる。外資系ホテルの開業が相次ぐ京都で、どのようにお客を呼び込むのか。
客室は「保存」「改築」「増築」の3エリアで展開
帝国ホテル 京都は、国の登録有形文化財である「祇園甲部歌舞練場」(ぎおんこうぶかぶれんじょう)敷地内の劇場「弥栄会館」の一部を保存活用したホテルだ。弥栄会館は、耐震性の不足と老朽化により大部分が使用されなくなり、どう継承するかが検討された結果、「躯体一部保存+外壁2面保存・増改築」によるホテルへの再生が決まった。
全55室のスモールラグジュアリーホテルで、「保存」「改築」「増築」の異なる建築構造や眺望を持つ3エリアで展開する。内装デザインは、建築設計事務所「新素材研究所」(東京都港区)の榊田倫之氏が担当し、総事業費は約124億円となる。
「保存エリア」は、祇園甲部歌舞練場や花見小路を臨む南西面の客室だ。柱や窓枠など随所に弥栄会館時代の面影が残り、情緒を感じられる空間に仕上げた。日本の建築美を間近に眺められ、アートを感じられる部屋だという。一部客室にはバルコニーも備える。
本棟北東面に位置する「改築エリア」は、眺望の魅力が際立つ。国産の木材を中心にデザインされ、壁面にある屏風(びょうぶ)風パネルは、日本の針葉樹を組み合わせて作られた。「大きな窓から祇園の町並みや山々を一望できる。京都にいるのだなと実感できる部屋」(坂田氏)
「増築エリア」は、祇園地区の整備方針にのっとり、祇園の町並みと調和するよう設計された。帝国ホテル初の畳の部屋で、靴を脱いで過ごす作り。日本的な素材や手法と現代的な要素を組み合わせた新しい和室の提案で、祇園に暮らしているかのような感覚を味わえるという。
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