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映画の配収と利益の仕組みは? 収益構造を読み解く『映画ビジネス』(2/2 ページ)

映画配給の収益構造はどうなっているのか。トップオフ、配給手数料、二次利用収入などを解説する。

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映画ビジネス』(和田隆/クロスメディア・パブリッシング)

 劇場での興行が終わると、以前はDVDやBD(ブルーレイディスク)といったパッケージソフトのセル、レンタルで二次使用の大きな売り上げがありましたが、昨今はコロナ禍に有料動画配信サービスの利用者が急増し、パッケージソフトの売り上げが配信収入に移行しつつあり、テレビの放映権も地上波だけでなく、BSやCS、ケーブルテレビなど多様化しています。

 パッケージソフトには個人向けのセル商品とレンタル店用の2種類があります。消費者が支払う定価に対し、版権使用のロイヤリティ(対価)の率を決めて、発売元から製作した数量に応じて徴収します。発売元の原価には、監督や脚本家などに支払う二次使用に関する著作権の印税などが含まれています。

 テレビの放映権収入は、配給会社には販売手数料が入り、その率は映画の興収が基準となっています。映画がヒットすれば、テレビの視聴率も上がり、媒体価値も上がることになります。地上波の放映権は、配収の10%くらいが基準とされていて、興収が20億円(配収10億円)であれば、放映権は1億円が目安となっています。

 さらに原作本や映画グッズ、キャラクターグッズの販売収入、国内リメイク権収入なども大きな売り上げになっています。洋画のビジネスも多様化していて、配給会社内も事業展開に合わせて専門の部署を新設するなどして取り組んでいます。

著者プロフィール:和田隆(わだ・たかし)

映画ジャーナリスト、プロデューサー

 1974年東京生まれ。1997年に文化通信社に入社し、映画業界紙の記者として17年間、取材を重ね、記事を執筆。邦画と洋画、メジャーとインディーズなどの社長や役員、製作プロデューサー、宣伝・営業部、さらに業界団体などに取材し、映画業界の表と裏を見てきた。現在は映画の情報サイト「映画.com」の記者のひとりとして、ニュースや映画評論などを発信するとともに、映画のプロデュースも手掛ける。プロデュース作品に『死んだ目をした少年』『ポエトリーエンジェル』『踊ってミタ』などがある。田辺・弁慶映画祭の特別審査員、京都映画企画市の審査員も務める。


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