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人を増やしても、生産性は上がらない 「1+1=3」にするチームの作り方(3/3 ページ)

確かに、事業を成長させるには適切な人材が不可欠。一方でこんな話も聞きませんか? 「急に人や拠点を増やした結果、組織がうまく回らなくなってしまった」――。

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「チームコーチ」という新たなアプローチ

 では、メンバー同士いきなり「仲良くなれ」と言われて、実現するかといえば難しいでしょう。そこで、チームの状態をよりよくするために「チームコーチ」を使うという方法があります。

 チームコーチ(システムコーチング)とは、チームや組織などの関係性を対象として、その関係性そのものにアプローチをするコーチです。第三者としてチームや組織に客観的に接し、現状を把握。そのチームや組織が持つ潜在的な可能性を探り、自律的に変化・成長できるように支援する役割を担います。

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チームコーチ

 一応、チームのリーダーがコーチのように振る舞うことも可能だと思われます。ですが、リーダーという役割の影響で「チームを導いてほしい」という期待をメンバーから抱かれがちで、自身の感情や思いを伝えるのが難しいという状況が生じやすいため、あまりオススメしていません。あくまで第三者であるコーチの存在が、メンバーの心理的安全性を高め、思いを自由に表現できるようサポートできると考えています。

 メンバー同士の関係性を深め、チームの結束を高めるアプローチはいろいろありますが、今回は一例として、チームの「ハイドリーム・ロードリーム」を共有するという方法をご紹介します。

 最初に各メンバーがこのプロジェクトを進める(チームで働く)上での「最高の夢:ハイドリーム」「最悪の夢:ロードリーム」を発話することから始まります。このプロセスでは、個々の思いや感情に焦点を当て、チーム全体で感じていることを共有します。これにより、メンバー同士の理解が深まり、信頼感が生まれます。

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ハイドリーム・ロードリーム

 次に、チームで「最高の夢の状態を実現するためには、どうすればいいのか?」といった対話が繰り広げられます。各メンバーが自らの視点やアイデアを出し合い、協力して目標に向かって進むための戦略を練ります。このプロセスによって、チーム全体が共有するビジョンを構築し、統一感が醸成されるのです。

 第三者のチームコーチが介入することで、メンバー個々の意見の偏りが解消され、客観的な視点からアドバイスが得られるメリットがあります。意見のバランスを整え、全体の方向性を明確にすることで、効率的なチームビルディングが可能になります。

 その後、チームで「行動指針」を作り、定例や朝会などで見返すことが重要です。こういった関係性に着目し、チーム文化を醸成していくことで、持続可能な成功を築くことができるでしょう。

 この新たなアプローチを通じて、チームメンバーはお互いの夢や目標を理解し、協力して成長するプロセスを経験しています。組織全体が一丸となり、夢を実現するための道のりがより明確になっていることを実感するのです。

著者プロフィール:田中拓也

大手印刷会社でWebディレクターとしてキャリアをスタート。以降、ゲーム・エンタメ企業や八百屋系EC企業でデザイン責任者を務めた後、ITソリューション企業にてUXデザイナーとして、多様な業界(教育、HR、業務システムなど)のプロジェクトに従事。並行して、ワークショップデザイナーとしても活動を広げ、実践的な共創の場づくりに注力。2021年よりグッドパッチにDesign Strategistとして参画。UXデザインの専門性を生かし、事業開発やプロジェクトマネジメントを通じて、クライアントの価値創出を支援している。


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