インタビュー
なぜ福岡の郊外に有名企業が集まるのか? 九州発のスーパー「トライアル」が仕掛ける「横のDX」(5/6 ページ)
福岡郊外の宮若市に、日本有数の企業約50社が集結。九州発ディスカウントストア「トライアルHD」が推進する「横のDX」で、業界の垣根を越えた連携とイノベーション創出を目指す取り組みを紹介する。
競合他社との交流が生む新たな価値
人材育成の面でも、効果を実感している企業がある。中には、年間60人規模で長期研修プログラムを行っている企業もあり、ID-POS(個人の購買データ)分析やデータサイエンスのスキルを高めながら、最終的には他社の担当者に向けてプレゼンテーションを行い、意見をもらう機会も設けている。
また、あるメーカーでは、ムスブ宮若での取り組みを通じて、これまでのマーケティング手法を見直すきっかけを得た。販売している日用品について、当初想定していた顧客層とは異なる人たちが多く購入していることが、トライアルHDの顧客データから分かったのだ。それを受けて販促戦略を修正した結果、売り上げが向上した。
ムスブ宮若の特徴は、企業間の壁が低いことだ。取り組みの成果を共有する発表の場があるほか、懇親会や施設内での交流を通じて、普段はあまり関わりのない企業同士でも情報交換が活発に行われている。
参加企業からは、「同じような課題を持つ企業をトライアルがつなげてくれることが多い」と評価されている。また、他の小売チェーンとの関係についても、従来の「取引」から「協力して取り組む関係」へと変えていきたいという声も聞かれた。
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