公立高校の端末整備で「公費の割合減」 家計の負担が増える?:MM総研調査
端末整備に公費を活用している都道府県は31あるが、次回更新の見通しがあるのは8都道府県にとどまる。「公立高校の学習者用1人1台端末に関する調査」で分かった。
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公立高校のデジタル端末整備に公費を活用している31の都道府県のうち、次回更新の見通しがあるのは8都道府県にとどまる。ICT市場調査を手掛けるMM総研(東京都港区)が実施した「公立高校の学習者用1人1台端末に関する調査」で分かった。
学習端末の「かくれ教育費」拡大 保護者の負担が増える?
公立高校の端末整備方法については、20の都道府県(43%)が公費のみで調達した端末を活用し、11都道府県(23%)は公費と保護者負担を併用している。次回更新でも引き続き公費で整備する見通しがあるのは8都道府県(26%)で、公費のみでの更新を継続できるのは、わずか5都道府県(16%)となっている。
政府は高校無償化政策を進めているものの、学習者用端末は無償化の対象外となっており、「かくれ教育費」として家計負担増加が懸念される。
また、端末を保護者負担で整備している都道府県については、学習用端末として保護者が用意した私物端末を利用するBYOD(Bring Your Own Device)と、教育委員会や学校が指定した端末を使用するBYAD(Bring Your Assigned Device)の2方式が混在している。
BYODはBYADと比べ端末の選定が利用者の自由となる一方で、ITガバナンスやセキュリティの統制が難しく、学校現場でのIT運用の課題となっている。今回の調査によって、BYOD方式は20都道府県で採用していることが分かった。一方のBYAD方式は7都道府県だった。
保護者負担型の端末整備については、端末の運用を集中管理するMDM(モバイル・デバイス・マネジメント)の導入率に大きな差が生じている。MDMの導入率は「公費のみ」が95%、「公費+BYXD(BYODとBYADの総称)」が75%である一方、「BYXDのみ」では13%にとどまった。
公立高校で端末の保護者負担が進むほど、ITガバナンスがとりにくくなる。円滑な授業でのICT活用や2025年からオンライン実施が前提となる経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)や、大学入学共通テストで導入されたCBT(Computer Based Testing)の安定した運用にも影響が及ぶ懸念が残る。
調査は、47都道府県の教育委員会を対象に電話での聞き取り調査を実施した。調査期間は、6月5〜17日。
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